弁護士と格言 口論乙駁は,コンセンサスを求める場にふさわしからず
才能とたゆまぬ努力の二つが、人をして、人の歩む道を力強く進ませる元になるというのが、ウインストン・チャーチルの言葉である。
そのウインストン・チャーチルは、1940年5月10日ネヴイル・チェンバレンが辞任した後をうけて、イギリスの首相になった。
時は、ナチスドイツによりダンケルクに追い詰められたイギリスとフランスの将兵が全滅する危機の最中であった。
チェンバレンレには、どうにもこうにも解決不能の、しかも、多くの国民がただ殺されていくという、危機の極限状態の時であった。
そんな時に、チャーチルは首相になったのである。
そのときのチャーチルの心境いかん、といえば、この日チャーチルは、国王ジョージ6世から組閣の要請を受けるや受諾し、最も重要な閣僚の任命を終え、午前3時ごろに床に就いたのであるが、後、チャーチルが著書「第二次世界大戦」の中で述懐するところは、「午前3時ごろ床に就いたとき、私は深い安堵感を覚えた。・・・私は運命とともに歩んでいるかのごとく感じた。そして、これまでの人生は、この時、この試練のための準備にすぎなかったと感じた。・・・私は戦争についてよくわかっているつもりであり、自分が失敗するはずはないと確信していた。そのため、朝が待ち遠しくはあったが、私はぐっすり眠った。」 (浅岡政子訳)というものである。
常人をはるかに超えた強い意志の人であったことは間違いあるまい。
河出書房出版の「チャーチルは語る」(2018年9月21日出版)に引用されたチャーチルの言葉200編を読む限り、もって生まれた天稟と、それを磨きつづけた、弛まない努力が、間違いなく、みてとれるのである。