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コラム

消滅時効5 時効の進行を止める、新しい制度を導入

2018年8月16日

テーマ:債権法改正と契約実務

コラムカテゴリ:法律関連

旧法では、時効期間の進行を止める制度として、時効の「中断」と「停止」という用語が使われていましたが、新法では時効の「完成猶予」と「更新」という用語になり、完成猶予と更新の事由が、分かりやすく整理されました。

(1) 完成猶予
新法でいう「完成猶予」というのは、猶予事由が生じても時効期間の進行は止まらないが、猶予事由があることで時効期間が完成しても所定の時期まで時効は完成しないという制度です。

具体的には、
①裁判上の請求等(ⅰ裁判上の請求、ⅱ支払督促、ⅲ裁判上の和解又は民事調停若しくは家事調停、ⅳ破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加
②強制執行等(ⅰ強制執行、ⅱ担保権の実行、ⅲ担保権の実行としての競売の例による競売、ⅳ財産開示手続)
②仮差押
③催告 → 内容は、参照条文150条を参照のこと
④承認
⑤天災等 → 161条を参照のこと

参照条文
150条 催告があったときは、その時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

161条  時効の期間の満了の時に当たり、天災その他避けることのできない事変のため第147条第1項各号(筆者注:①の裁判上の請求等のこと)又は第148条第1項各号に掲げる事由(筆者注:②の強制執行等のこと)に係る手続を行うことができないときは、その障害が消滅した時から3箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

(2)更新
「更新」とは、旧法でいう「中断」と同じく、それまでに進行してきた時効期間がゼロになり、新たな時効期間が進行するという意味になります。
具体的には、
①裁判上の請求等で権利が確定した時
②強制執行等で手続が終了した時。ただし、申立ての取下げ又は取消による終了は除かれます。
③承認(権利の承認があった時)

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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