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コラム

消滅時効4 不法行為の場合の特則

2018年8月16日

テーマ:債権法改正と契約実務

コラムカテゴリ:法律関連

ア 一般に不法行為の場合
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間は、「知った時から3年間」又は「不法行為の時から20年間」になります。
契約から生じた債権の場合とは違った規定ぶりになっているのです。

建物建築請負契約で、完成引渡後10年以上経過した後、20年に達していない間に、建物が倒壊したケースでいえば、裁判所は、要件を満たしている限り、不法行為を理由にする損害賠償請求を認めています。

イ 人の生命又は身体を害する不法行為の場合の特則
 交通事故や労災事故などの不法行為によって、いわゆる人損が生じた場合は、現行法では「知った時から3年間」又は「不法行為の時から20年間」ですが、前者については、改正法では「知った時から5年間」に延長されました。
人損被害者救済のためです。

参照条文
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第724条  不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないとき。
二 不法行為の時から20年間行使しないとき。

(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第724条の2 人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。

なお、改正法第724条の2 については、改正法の附則35条2項で、改正法施行の日(2020年4月1日)において、旧法の要件(「知った時から3年間」)を満たしている場合は、改正法は用しないとされています。

参照条文
附則第35条2項
新法第724条の2の規定は、不法行為による損害賠償請求権の旧法第724条前段に規定する時効がこの法律の施行の際既に完成していた場合については、適用しない。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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