債権法改正 大改正。債権の原則的な消滅時効期間は5年になる。短期はなし
消滅時効期間の起算点は、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」ですが、債権の行使ができることを知らなくても、「権利を行使することができる時から10年間」経過すると、時効消滅します。
では、「債権者が権利を行使することができることを知った時」とは、いつをいうのかが問題になりますが、建物の建築請負契約で、重大な契約違反があって、完成引渡後3年経過したときに、突然倒壊したような場合を想定しますと、倒壊の事実を知った時がこれにあたります。
一般には、「損害と加害者を、損害賠償の請求が可能な程度に知った時」と解されています。
しかし、建物倒壊が、完成引渡後8年経った後の場合は、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間」よりも、「権利を行使することができる時から10年間」の方が早く来ますので、この場合は、「知った時から5年間」ではなく、「行使できる時から10年間」で、債権は時効消滅します。
なお、建物の全壊が、建物完成引渡後10年経過した後だという場合、契約違反(債務不履行)を理由とする債権は、時効で消滅していることになります。
もっとも、建物の倒壊が不法行為による場合は、不法行為の時から20年経っていないときは、損害賠償請求ができます。(次のコラム参照)