コラム
家康成長の軌跡⑦ 信長との同盟時代に学んだこと2
2018年8月7日
(2)篤実に生きることが、織田信長との同盟を支えることを知ったこと
家康は、信長との同盟時代、信長の信頼を疑わせるようなことは、何一つしていません。
それどころか、本能寺の変の直前、信長は、家康を堺見物に招き、最大の接待をしているくらいの、篤い信頼を寄せているのです。
信長は、猜疑心が強く、その猜疑心を持ったときは、直ちに、“殺す”という行動に移すほどの人物です。
荒木村重の謀反のとき、黒田官兵衛が、村重を翻意させるために有岡城に赴くも逆に囚われの身になると、信長、これを官兵衛の裏切りであると猜疑して、人質となっている官兵衛の長男松寿丸(のちの黒田長政)を殺すよう命じます。
これも、信長の猜疑心のなすところです。
(なお、黒田松寿丸を殺せとの命令は、竹中半兵衛が、命をかけた、殺したという嘘の報告をすることで、実行はされませんでしたが。)。
「疑心暗鬼を呼ぶ」という言葉がありますが、人の心の中に生まれた疑心が、鬼を呼び、その人を苦しめることをいいますが、信長の疑心が生んだ暗鬼は、殺害に直行する危険な暗鬼のようでした。
とまれ、このような猜疑心の強い信長に、臣従する立場ではなく、対等の同盟者としての立場で、20年もの長い間、良好な関係を築いていった家康。見事というほかありません。
恐らくは、家康、この同盟期間中、家康の武力のみならず、人格が、いかに努力をすれば、低く見られず、軽く見られず、頼りにされるか、いかに生きることが、家康に対する信頼を強めてくれるか、その人と力をあてにしてくれるか、を考えつづけ、実践しつづけたものと思われます。
信長の怜悧、信長の猜疑心の前では、見せかけの誠実性や篤実性は、すぐ馬脚を現します。
家康は、見せかけではなく、真実、信長に対する信頼と尊敬の念を持ち続けて、20年間を、生き抜いたものと思われます。
この間、恐らく、家康自身が驚くほどの成長を、家康自身、遂げていったものと思われます。
関連するコラム
- 弁護士の心得 「できません」は禁句。「こうすればできます」で答えるべし。 2015-01-02
- 弁護士と格言 口論乙駁は,コンセンサスを求める場にふさわしからず 2014-03-22
- 弁護士と格言 蟹は甲羅に似せて穴を掘る 2014-03-14
- 弁護士の心得 専門に特化しながら、専門外から謙虚に学ぶべし 2015-01-05
- 弁護士の心得 根拠のない「思います」は禁句。根拠を示して答えるべし。 2015-01-01
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。