立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護
相続人に対し、遺産を取得させる遺言事項には、
⑴ 一定の割合で取得させるものとしては、①「相続分の指定」と②「包括遺贈」があり、
⑵ 遺産を特定して遺産を与えるものとしては、③「遺産分割方法の指定」と④「特定遺贈」がありますが、
ここから疑問が生じます。すなわち、相続人に遺産を取得させるのに、このような四種の制度が必要なのか?という疑問です。
特に、②や④の相続人への「遺贈」は必要ないのではないかという疑問です。
相続人に一定の割合で遺産を取得させる場合は、仮に「遺贈」という言葉が使われていても、手続の煩瑣さ(遺言執行を必要とすること)及び費用の高負担(登録免許税の高負担など)というデメリットしかない「遺贈」ではなく、遺言執行を要しない、また、費用も安価な方法である「相続分の指定」や「遺産分割方法の指定」と扱えばよいという意見です。
それらが、法制審議会民法(相続関係)部会第5回会議で議論されています。
このほか、遺贈の場合は「負担付遺贈」があるのに、相続分の指定や遺産分割方法の指定の場合は、「負担付相続分の指定」や「負担付遺産分割方法の指定」がないので、これらについても,明文で定めるべきだとする意見などもあります。