改正個人情報保護法の狙い ビッグデータを活用する新たな産業の創出
公正取引委員会平成27年3月26日審決(平成24年(判)第6号及び第7号)は、優越的地位の濫用に対して課徴金が課されることになって初めての審決ですが、この審決で示された優越的地位の濫用要件は、従前の考え方と違って、優越的地位の濫用が認められやすくなっており、注意が必要です。
なお、この件は、公取委から排除措置命令と3億6908万円の課徴金納付命令を課された処分の取消しを求めた事件ですが、審決では、排除措置命令のうち一部の事業者に関する部分が取り消され、課徴金納付命令のうち,2億2218万円を超えて納付を命じた部分が取り消されており、それにより公取委が考える優越的地位の濫用要件と濫用にならない場合の要件が明確にされるに至っています。
1 優越的地位について
審決は、「取引の一方の当事者(以下「甲」という。)が他方の当事者(以下「乙」という。)に対し,取引上の地位が優越しているというためには,甲が市場支配的な地位又はそれに準ずる絶対的に優越した地位にある必要はなく,取引の相手方との関係で相対的に優越した地位にあれば足りると解される。また,甲が取引先である乙に対して優越した地位にあるとは,乙にとって甲との取引の継続が困難になることが事業経営上大きな支障を来すため,甲が乙にとって著しく不利益な要請等を行っても,乙がこれを受け入れざるを得ないような場合をいうと解される。(ガイドライン第2の1参照)・・・・
・甲が乙に対して優越した地位にあるといえるか否かについては,甲による行為が濫用行為に該当するか否か,濫用行為の内容,乙がこれを受け入れたことについての特段の事情の有無を検討し,さらに,①乙の甲に対する取引依存度,②甲の市場における地位,③乙にとっての取引先変更の可能性,④その他甲と取引することの必要性,重要性を示す具
体的事実を総合的に考慮して判断するのが相当である。」と判断基準を明示しました。
2 返品について、
そして、返品については、「ア 本件返品及び本件減額の各対象商品の取引形態は,いずれも買取取引である。イ このような買取取引において,取引の相手方の責めに帰すべき事由がない場合の返品及び減額は,一旦締結した売買契約を反故にしたり,納入業者に対して,売れ残りリスクや値引き販売による売上額の減少など購入者が負うべき不利益を転嫁する行為であり,取引の相手方にとって通常は何ら合理性のないことであるから,そのような行為は,原則として,取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えるものであり,当該取引の相手方の自由かつ自主的な判断による取引を阻害するものとして,濫用行為に当たると解される。」と判示しましたが、
3 返品が優越的地位の乱用にならない要件について、
「ウ もっとも,返品に関しては,例外的に,①商品の購入に当たって,当該取引の相手方との合意により返品の条件を明確に定め,その条件に従って返品する場合,②あらかじめ当該取引の相手方の同意を得て,かつ,商品の返品によって当該取引の相手方に通常生ずべき損失を自己が負担する場合,③当該取引の相手方から商品の返品を受けたい旨の申出があり,かつ,当該取引の相手方が当該商品を処分することが当該取引の相手方の直接の利益となる場合などは,当該取引の相手方にあらかじめ計算できない不利益を与えるものではなく,濫用行為には当たらないと解される。」と判示しております。
そして、本件審決は、その部分についての排除措置命令を取り消し、また、課徴金納付命令を取り消しました。
4 返品が優越的地位の濫用にならないようにするには、
これは3に書いた要件を契約書の中に書くことです。