立法論としての相続法③ 配偶者の居住権の保護
ここまで、平成3年に出された香川判決以後の、判例法理の説明をしてきましたが、実は、この判例は特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」遺言についての判例です。
ところで、「相続させる」遺言には、もう一つありまして、それは、相続割合を指定する遺言書です。
例えば、
「遺言書
「私は、妻凸山花子に遺産3/5を相続させ、長男凸山一郎に1/5を相続させ、長女に遺産の1/5を相続させる。」
というような遺言書です。
この遺言書の場合は、法定相続分(例:妻1/2、長男1/4、長女1/4)に代えて、遺言書で指定した相続分(これは「指定相続分」といわれます。)でもって、相続人間で遺産分割をすることを求める遺言書で、相続人もこの遺言書に拘束されることになります。
相続分の指定遺言書は、
「遺言書
私は、妻凸山花子の相続分を遺産3/5とし、長男凸山一郎の相続分を1/5とし、長女凹川一子の相続分を1/5と定める。」という書き方もあります。
これらについては、遺言執行者がいても、遺言執行者がすべきことはなにもありません。