コラム
年月を経ると,感じ方が変わる例
2016年6月15日 公開 / 2016年6月16日更新
私が生まれるより前の,1939年に公開された映画『風と共に去りぬ』(原作:マーガレット・ミッチェルの同名の小説)を,最初に見た日は,いつ頃だったか覚えていませんが,若年の頃であったことは,間違いありません。
その映画の幕切れは,主人公スカーレット・オハラが,「そうだわ。ターラへ帰ろう。ターラへ帰って考えよう。明日は明日の風が吹くわ。」とつぶやく姿だったように思いますが,その時,私が感じたのは,なんとも言えない寂寥感でした。スカーレットの姿も,孤影悄然とした姿にしか見えなかったのです。
しかしながら,ごく最近(今から二,三年内),再度,この映画を見ましたが,このときの印象は,孤影悄然どころか,スカーレットの,明るく,逞しい生命力と,明日を切り開いていこうとする雄々しい姿でした。
恐らく,スカーレット・オハラは,生まれ育った,また,父母の眠る故郷であるターラへ帰り,疲れを癒やしつつ,いかにして夫であるレッド・バトラーの心を取り戻すかを考えるのであろうと思わせる幕切れだったのです。
同時に,仮にデッド・バトラーの心を取り戻せなくとも,スカーレットは,新たな運命を切り開いていくであろうと思わせるほどの,何かを感じさせる幕切れだったのです。
そこからは,寂寥感ななどといった,消極的,悲観的な思いなどとは無縁の,運命を切り開く強さを持った人間に対する驚嘆と賛嘆を感じ取ったのです。
同じ映画でありながら,若年の頃に見た時に抱いた感情(寂寥感)が,幾星霜かを経た後には正反対の感情(驚嘆と賛嘆)に大変化したのは,恐らくは,この間に私という一人の人間が,学んだこと,経験したこと,それらに触発されて考えたこと,これらが渾然一体となった何かが,その機縁になっていることは間違いなく,ここからも,人は,時間を措けば必ず変わる,という思いを実感いたします。
その意味でいいますと,人は変わる,ということです。
その本質の部分が変わる,という意味ではなく,成長するという意味において,変わるのです。
では,成長の機縁は何でしょうか?
これは明日のコラムで考えたいと思います。
関連するコラム
- 女性経営者 広岡浅子 2016-06-30
- 賢い事業承継の手順 5 自社株を生前贈与する場合の注意点 2016-07-14
- 地理は風土を生み出し,風土は人をつくる 2016-06-22
- 人も,後継者も,いつまでも,呉下の阿蒙にあらざるなり 2016-06-14
- 事業の譲渡2の補足 議決権を握り続けること 2016-05-26
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。