コラム
チャーチルに学ぶ ①用件は,文書にして渡すこと
2015年12月4日 公開 / 2015年12月12日更新
イギリスの宰相(首相)であった,ウィンストン・チャーチルは,第二次世界大戦を指導していく中で,文書によらない我が指示や命令はない,我が命令や指示は,すべて,書面でする,ということを,閣僚その他,彼の指示や命令を聞く立場の人々に,伝えております。
口頭でなされた指示や命令は,人から人に伝えられていく中で,あるいは言葉が端折られ,あるいは潤色され,末端まで正確に伝わるとは限りません。
重大な戦局にあって,首相の指示命令が正しく伝わない場合の実害として,想像できないほどの惨禍を生む可能性があることを考えると,チャーチルの言葉には,千鈞の重みが感じられます。
人は,歴史から学ぶことが多い,否,時には天からの啓示を受けるほどの,学びをするのですが,歴史に名を残した人々の“日記”その他の書き物は,常に,歴史上の“今”を生々しく伝えてくれ,多くのことを教えてくれます。
用件を伝える文書も,また,その時の緊張感を,そのまま,伝えてくれるものになります。
口頭での用件伝達は,時間の経過の中で,雲となって散り霧となって消え失せてしまうのです。
このチャーチルは,後,「第二次世界大戦(随想録)」を著し,ノーベル文学賞を受賞するに至っていますが,若い頃から,多くの書き物を書き,ギボン流の文章力を磨いていたようです。
そして,ここでいう,用件を文書化することも,本来の目的のほか,文章力を磨く効果があると思われます。
言葉を書面にする習慣を,身に付けたいものです。
なお,当事務所では,依頼者への連絡,相手方への連絡を,すべて,書面でしています。電話での話しで済ますことは決してしていません。むろん,電話や口頭での連絡などは無論しますが,その場合も,その後で書面にして送るのです。
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