宅建業者の瑕疵担保期間についての特例を設けた理由
松山地裁平成10.5.11判決は、宅建業者である売主が、高架道路建設計画があるのを知りながら、それを買主に告知しなかった点で、重大な義務違反だとして債務不履行責任と不法行為責任を認め、この土地の売買を仲介した宅建業者は、「土地取引の周辺について調査義務があり、調査をすれば容易に高架道路建設計画を知り得たのに、調査をしなかった」点に過失があるとして不法行為責任を認めました。
そして両者の責任は、売主が高架道路建設計画を知りながら故意に買主に告知しなかった点で責任は重く、仲介業者の方はそのことを知らなかった点では責任は軽いと言えるが、不法行為責任という点で連帯してその賠償をすべきだとしました。
そして,判決は、買主の損害賠償額は、
① 土地については日照・通風被害による減損分10%
② 建物の機能的、経済的減損分38%、
③ 慰謝料200万円
と判示しました。
一般に、売主の債務不履行責任には、慰謝料は認められず、ただ、経済的損害を補填してもなおそれによっても慰謝されない精神的苦痛が残存するときに限り、慰謝料請求権が認められるとするのが最高裁昭和35.3.10判決ですが、この判決は、業者の重大な義務違反を指摘して、買主側の過失相殺を否定し、慰謝料まで認めたのです。
不誠実な宅建業者には,大いなる制裁が・・・ということでしょう。