コラム
28 (不動産売買)契約書を作成する場合の,基本の考え
2015年11月20日
“ 法は自ら助くる者を助く ”という諺があります。
ここでいう「法」とは,法律のことです。
契約は,法律効果を生じさせるための約束事ですから,契約当事者間で決めた法律といってもよいものでしょう。
ですから,契約書には,自ら助くることのできる文章を綴らなければなりません。
その内容は“疎”であってはならず,“密”でなければなりませんが,相手方を“謀る”ものであってはなりません。
“ 天網恢々疎にして漏らさず ”という諺があります。
ここでいう「天網」とは,法律のことではありません。
もっと高次元の,正義とか神様とでもいうようなイメージの言葉です。
ですから,天網を期待して,契約書の内容を“疎”しておいては,自らを助けるどころか,破れを招くことになります。
“ 鳥網精緻にして一鳥かからず ”という言葉が,吉川英治の小説「三国志」に書かれています。
「・・・のお考えは至妙なりといえど、おそらく、鳥網精緻にして一鳥かからず, 獲物のほうでその策には乗りますまい・・・」
という言い方で使われていますので,鳥網とは,“獲物をかける策”(相手を欺す手口)のことであることが分かります。
この文は,俗っぽくいえば,小賢しい策を弄しても,相手はそんな策には乗らないから,やめときなはれ,というものです。
実際に書かれる契約書にも,意味不明な言葉で,解釈次第では危険な“罠”になりそうなものがあります。
契約書には,自らの権利を明確にした,きめ細かい約束事を,遺漏なく書くことが肝要で,契約書の中で策を弄することをしてはならず,相手方が作成した契約書に,意味不明の用語が用いられている場合は,遠慮なく,意味を正し,明確な意味の条文にするよう求めることが,さらに肝要です。
これが,契約書を書く,基本の考えです。
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