改正法の下では、特別損害の範囲が変わる 主観から客観へ
【コメント】
賃貸借契約に関しては,重要な改正が多々ある。
保証のところでも説明したが,賃借人の保証人との保証契約は,極度額を定めなければ無効になる改正もあることに注意
(賃貸借)
第601条 賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
【コメント】
現行法には,規定がないため,明確さに欠けているが,改正法は,判例法理に従い,賃借人の目的物の返還債務を明示した。建物賃貸借契約では,契約の終了だけで,敷金返還請求権が発生するものではない。終了後賃貸借の目的物の返還義務を履行しなければ敷金返還請求権は発生しないのである(敷金のところで再説予定)。
(短期賃貸借)
第602条 処分の権限を有しない者が賃貸借をする場合には、次の各号に掲げる賃貸借は、それぞれ当該各号に定める期間を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、当該各号に定める期間とする。
一 樹木の栽植又は伐採を目的とする山林の賃貸借 10年
二 前号に掲げる賃貸借以外の土地の賃貸借 5年
三 建物の賃貸借 3年
四 動産の賃貸借 6か月
【コメント】
柱書の後段部分が,追加されたもの。従前は,それがなかったので,解釈が統一しなかったためである。
(賃貸借の存続期間)
第604条 賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
2 賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。
【コメント】
重要な改正である。現行法の期間は20年とされているため,ゴルフ場のような長期間の利用で投資額を回収する土地の賃貸借契約には不向きであった。そこで,時代のニーズに合わせて50年を上限にしたものである。
(不動産賃貸借の対抗力)
第605条 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
【コメント】
現行法では,登記が効力要件とされているのを,判例法理に従い,対抗要件とした。