契約書知識 16 契約書の表記は公用文表記法による
(所有権留保)
第○条
本件商品の所有権は,乙が代金すべての支払を完了するまでは,甲に留保する。ただし,乙は,商品を販売又は加工することはできるものとする。
2 乙は,代金を完済していない商品については,場所その他の方法で,甲から購入した物以外の物と分別した上,標識を付すなどの方法でその所有権が甲に帰属することを表示しなければならないものとする。
解説
原材料,商品等の動産を売り渡しながら,代金を完済するまでの間,その所有権を売主に留保する規定をおく場合があります。商品代金の担保のためであることはいうまでもありません。
担保として留保した所有権に基づき商品の引渡を請求する場合は,事前に本契約を解除しておかなければなりません。
当事者間では,所有権留保条項(第○条1項)で,目的は達成できますが,債務者が破産するなどした場合は,その商品が,他と識別され,かつ,甲の所有であることが表示されていないと,破産管財人などの第三者には対抗できません。
そのための規定として,2項が必要になります。
なお,売買契約の対象物(動産)が特定できておれば,売買債権の先取特権の行使もできます。