弁護士の心得 専門に特化しながら、専門外から謙虚に学ぶべし
呉下の阿蒙(ごかのあもう)とは,中華の大陸は,魏・蜀・呉三国鼎立の時代,呉国の武将,呂蒙のことです。
呂蒙は,武勇には秀でたものの,学問はイマイチだったところを,国主孫権より,学問の重要性を教えられ,俄然勉学にも励み,知謀の臣,魯粛をして,「士別れて三日ならば、即ち更に刮目して相待つべし」と言わせたほどの,学問,教養の深さをもった人間に育ったのです。なお,余談ながら,呂蒙は,三国志で有名な関羽を敗死させたことから,人気はイマイチですが,その時代の呉国では,赤壁の戦いで勝利した周瑜,周瑜亡き後の呉の都督になった魯粛に次ぐ,3番目(あるいは陸孫に次ぐ4番目)の英傑とされている人物です。
学問に限らず,世間を知るだけでも,人の蒙は開かれます。
己に,何かを誇るところがあれば,それは,まずもって井蛙の誇り(せいあのほこり)であり,人に成るには,まだ遠いというべきでしょう。
何から学んだかは知らず,最近,人を知り,世間を知り,その語るところ,見るところ,えっ!と驚くほどの成長を見せた若者に会いました。
過去には見られた,狭さと誇りに,変わって,広さと謙虚さを身に付けた若者です。
勤めを感謝し,先輩,同僚,後輩に感謝し,己の能力が勤務先で十分生かせることを喜んでいる若者でした。
かつては,その時の不満を語っていたのに,今は,明日の希望を語るようになった若者でした。
まことに,人は,皆,いつまでも呉下の阿蒙に非ざるなり,です。