コラム
弁護士と格言 3 亀の甲より年の功
2014年2月3日
「亀の甲より年の功」という言葉は,人口に膾炙(じんこうにかいしゃ)してきた俚諺(りげん)です。
例えば,離婚事件。
妻が表層に見せるのは,夫に対する怒りと不信の感情である。
しかし,妻の心底には,夫を信じ,夫とともに,楽しく穏やかな日々を送りたいと願う願望と愛情がある。
夫が表層に見せるのは,妻の,自分を信じようとはしない態度に対する怒りである。
しかし,夫の心底にも,妻との穏やかで楽しい日々を送りたいと願う願望と愛情がある。
人は,感情に弱い。
自分の感情に,簡単に負けてしまう。
感情に負けると,その感情を,もろに,相手にぶつけてしまう。
人は感情に弱い。
相手から感情をぶつけられると,相手の大切にしているものを破壊して,復讐を考えるほどにである。
このような事件で,依頼人である夫に,依頼人である妻に,まずは感情をすべて捨てさせることのできるほどの,弁護士は,どれほどいるであろうか?
夫の愛情を妻に見せてくれる弁護士,また,妻の愛情をを夫に見せてくれる弁護士は,どれほどいるであろうか?
弁護士の洞察と知恵により,夫婦お互いの愛情を知った夫や妻は,おそらく,それらに気がつかない夫婦の場合に比して,全く違った形の解決ができるのではないであろうか?
そういう弁護士がいるとすれば,おそらく,そういう弁護士は,“亀の甲より年の功”,すなわち,人生における豊富な経験の上に,人の心の奥を洞察できる何かをもった弁護士であるのだろうと思う。そんな弁護士になりたいものである。
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