市街化区域の農地についての小作契約の解約と適正な離作料
Q 我が社は、土地の有効活用をはかるため、貸店舗業を始めようと計画しています。
早速、その話を聞きつけたA社から、定期建物賃貸借契約でよいから貸してくれないかというオファーが入ってきましたが、当社の希望する家賃よりは安い家賃(月80万円)の提示がなされました。B社からは、通常の建物賃貸借契約という条件で、当社の希望する家賃(月100万円)でのオファーが入ってきました。
通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約とでは、どのような違いがあるのですか?
また、通常の建物賃貸借契約における賃料額と定期建物賃貸借契約における賃料額とでは違いがあるのですか?
A 通常の建物賃貸借契約の場合の貸主は弱い立場、定期建物賃貸借契約の貸主は強い立場に立つことになります。そのため賃料額に差が出るのはやむを得ないことです。
1,返還時期
通常の建物賃貸借契約は、更新することが当然の前提になっています。貸主から、期間満了後賃貸借契約を更新しないといっても、あるいは、解約するといっても、正当理由がないと効力は生じません。正当理由が認められることは少なく、認められる場合でも、相当の立退料の支払いが条件になります。
ですから、通常の建物賃貸借契約は、返還時期が、借主の意思しだいになります。
要は、契約期間が満了しても、建物は返還してもらえないということです。
一方、定期建物賃貸借契約は、期間の満了によって賃貸借契約は終了しますので、建物は無条件で返還してもらえます。
2,賃料を値上げすることの可否
通常の建物賃貸借契約の場合、ひとたび決めた賃料については、値上げをする場合であっても、値下げをする場合であっても、相手方の同意が必要になり、同意なしに値上げや値下げの効果を得るには裁判を起こさねばなりません。そのため、賃貸借期間が完了する時点で、値上げをしたくとも、まったく値上げができないか、できたとしても満足のいかない値上げになることが一般的です。
一方、定期建物賃貸借契約の場合は、期間の満了によって賃貸借契約は終了しますので、同じ賃借人から、再契約をして欲しいと要請されたとき、貸し主から、賃料を値上げしてくれないと貸さないということができます。
借主も、その店舗から撤退したくないと思えば、高くなっても、新たな賃料で借りるほかなく、貸主が圧倒的に強い立場になります。
通常の建物賃貸借契約と定期建物賃貸借契約とでは、このような違いがありますので、当初の契約時に設定する賃料に違いがでることはやむを得ないでしょう。建物が賃貸借契約期間の満了によって返還されない通常の建物賃貸借契約の場合は、高い家賃を設定し、賃貸借契約期間が満了すると確実に建物が返還される定期建物賃貸借契約の場合は、賃料を安く設定するということです。、