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建築 19 重大な過失の例

菊池捷男

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テーマ:建築

建築請負契約書で、民間(旧四会)連合約款を添付したものがありますが、その場合の建築請負契約は、同約款に書かれたものになります。
この約款の中に、瑕疵担保責任期間は、いずれも引渡日から原則2年間、瑕疵につき被告に故意又は重大な過失がある場合は10年間とする、との規定がありますが、
東京地裁平成20.12.24判決は、
地下横断歩道のタイル張り工事に関し、引渡後6年後に生じた、浮きやひび割れが、重大な過失による瑕疵に当たるかどうかが争点になった事件で、
「そこで、本件瑕疵について被告に故意又は重大な過失が認められるか否かを検討するに、本件不具合は、下地モルタルの塗付に際し、適切な下擦りを行わなかったり、コテ圧むらを生じさせる施工作業をしたりして、コンクリート躯体と下地モルタルとの間に十分な接着力をもたせる施工をしなかったことが原因となって発生したものであり、下擦りを適切に行うべきことは、本件各工事の各施工要領書、その他の書面に明記されているところである。また、コテ圧を適切に調整して塗付作業をすることは、タイル張を行う職人の最も基本的な専門的技能であるから、本件不具合は、標準技術に達しない不適切な施工の結果であり、しかも、施工からわずか6年程で極めて広範囲にタイル剥離等を発生させた結果からみて,上記施工上の不備の程度も著しいものというべきであって、被告には、重大な過失があったというべきである。」
と判示しています。
重大な過失による瑕疵の場合は、長期間の瑕疵担保責任がありますので、どのような瑕疵が重大な瑕疵になるかを考えるのに、参考になる判決です。

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菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

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