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建築 8 注文主の責任で残工事ができなくなった場合の損害賠償額

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テーマ:建築

最高裁昭和52.2.22判決は、
① 乙は甲から甲所有の建物の冷暖房工事を430万円で請負った。
②乙は、同冷暖房工事のうちボイラーとチラーの据付工事を残すだけとなったので、右残余工事に必要な器材を用意してこれを完成させようとしたところ、甲から、地下室の水漏れに対する防水工事を行う必要上、その完了後にボイラーとチラーの右据付工事をするよう要請され、同意した。
③甲は、乙からの再三にわたる請求にもかかわらず、防水工事を行わずボイラーとチラーの据付工事を拒んだ。
④これにより、乙は冷暖房工事を完成させることができず、工事の完成は不可能になった。
という事実を前提に、
ア 請負契約において、仕事が完成しない間に、注文者の責に帰すべき事由によりその完成が不能となった場合には、請負人は、自己の残債務を免れるが、民法536条2項によって、注文者に請負代金全額を請求することができる。
イ しかし、請負人は自己の債務を免れたことによる利益を注文者に償還すべき義務を負う。
ウ 請負人の残債務を免れたことによる利益については、注文者に立証責任がある。
エ そのため、注文者が請負人の受けた利益につきなんらの主張立証がないときは、請負人は注文者に対し、請負代金全額を請求しうる。
オ 請負人は、出来高に応じた報酬しか請求できない、というものではない。
と判示しました。

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菊池捷男(弁護士)

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