コラム
企業経営と危機管理 9 内部通報と外部からの通報との違いを見せた雪印食品偽装牛肉事件
2012年12月3日
平成13年9月、農水省は国内牛からいわゆる狂牛病の発生を確認。10月、国内牛の全頭検査をすることにしたが、それ以前に解体された国内牛は国内で流通させず、買取りをすることを決定。ここで、雪印食品関西ミートセンター長が中心になって、外国(オーストラリア)産牛肉を国内産牛肉と偽装することで、国から代金を騙取することを企て、オーストラリアから輸入した牛肉633箱を1日がかりで、国産牛用の箱に詰め替え、2億円弱の代金の騙取に走った。
この牛肉偽装事件で逮捕されたもの9名、有罪判決を受けた者5名であった。会社は再建不可能なほど信用を失墜し、解散の道を選んだ。これにより800名の社員と1000名のパート・嘱託社員が解雇された。解雇された社員の多くは、雪印食品を解雇されたという理由だけで、再就職に支障を来したという。
この事件では、多くの社員が、外国産牛肉を、国内産牛肉用の箱に詰め替える作業に従事したので、多くの社員の知るところになり、社員の中から、本社に、内部告発はあった。そして、本社から、幹部が関西ミートセンターに赴き、調査をした。しかし、この調査で、この事件が判明しなかった。
ここに、雪印食品が、組織ぐるみで、偽装工作をしたのではないかと疑われる原因があり、犯行当時の専務取締役と常務取締役も、詐欺罪の共犯として起訴されたが、この2名は無罪になった。
内部告発では判明しなかったこの事件ではあったが、偽装工作の現場に利用された倉庫業者から、雪印食品本部へ告発することで、やっと、会社にこの事件が判明し、会社が記者会見で、この事件を認め謝罪した。
内部通報と外部からの通報との違いを、見せつけられた雪印食品偽装牛肉事件であった。
関連するコラム
- 企業経営と危機管理 17 労働環境調査委員会設置規程(案) 2013-02-18
- 企業経営と危機管理 16 内部通報制度設置規程(案) 2013-02-17
- 企業経営と危機管理 7 循環取引 2012-12-01
- 企業経営と危機管理 11 帳合取引は循環取引とは違う 2012-12-05
- 企業経営と危機管理 10 職場離脱制度(強制休暇制度) 2012-12-04
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。