離婚 離婚後の戸籍の届出について
Q 私は医師をしている者です。つい先日離婚した元妻は薬剤師をしています。子が1人いて現在薬科大学の1年生です。妻は離婚前に私に無断で私名義の預金から数百万円をもって出、妻名義で預金をしています。そんな妻に子の養育費を支払う義務があるのでしょうか。あるとすれば、いつまで養育費を支払えばよいのでしょうか?
A 養育費の支払義務はあります。養育費は、お子さんが大学を卒業するまでと考えてください。
1 扶養義務者
未成熟子に両親がいる場合の、扶養義務者は父と母です。父母が離婚していて子が母の手で育てられている場合も、扶養義務者は別居している父と同居して扶養している母の2人です。
2扶養料はどのようにして決めるか?
扶養料は、扶養義務者の父の資力と,同じく扶養義務者である母の資力とを対比して、決められます。裁判実務では、裁判所で作った算定表で金額が決められています。
3元妻が預金をしていることは、直接養育費の計算に影響しない。
元妻が、離婚の際に持ち出したお金が、元妻名義の銀行口座に預け入れられていて、子の扶養のために費消された事実がないのであれば、父と母の間に、その金額を父の負担すべき子の扶養料の支払に充てるべき旨の明示または黙示の合意が成立した等の特段の事情が認められない限り,それとは無関係に養育費が決められます(大阪高裁平成2.8.7決定)。
4扶養の本質
未成熟子の扶養の本質は,いわゆる生活保持義務として,扶養義務者である親が扶養権利者である子について自己のそれと同一の生活程度を保持すべき義務です(前記大阪高裁平成2.8.7決定)。
5養育費(扶養料)が子の大学卒業時までとされる場合
大阪高裁平成2.8.7決定は、父である相手方は医師として,母である豊子は薬剤師として,それぞれ大学の医学部や薬学部を卒業して社会生活を営んでいる者であり,現に,子も薬科大学に進学していること等,子が生育してきた家庭の経済的,教育的水準に照らせば,子が4年制大学を卒業すべき年齢時まで父である相手方において子の扶養料を負担し,これを支払うべきものとするのが相当である、と判示しました。