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コラム
大切にしたいもの 19 天命
2012年7月17日 公開 / 2016年3月15日更新
1五十にして天命を知る、の意味
儒教の始祖である孔子の「五十にして天命を知る」という言葉が、人口に膾炙(じんこうにかいしゃ)し、現在では、広く知られた言葉になっています。
孔子が、この言葉を初めて発したのは、いたって晩年のこと、六十才代に入ってのことで、亡くなる数年前のことだったようです(井上靖著「孔子」新潮社発行)。
では、孔子のいう、「天命」とは、何のことでしょうか?
この言葉の意味を、孔子じしん、語ってはいません。というより、孔子は、多くの言葉を、世に残しましたが、自らが語った言葉の意味を丁寧に説く、という作業をしたことは一度もなかったようです。
ですから、孔子が語った言葉は、聴いた者が、その心の中で、どう解釈するか、によって、意味が違ってくるのだろうと思います。
篶薑(えんきょう)という孔子の弟子でも、この「天命」という言葉が、最も難しい言葉だと言っているくらいですので(前記「孔子」)、私など、安易に、ここで「天命」などと言う言葉を口に出すことは、不遜なことかもしれません。
2孔子の、「天」に関する他の言葉
孔子は「天、何をか言うや。四時行われ、百物生ず。天、何をか言うや。」とも言っています、井上靖流に、この言葉を解しますと、天は何も言わない、しかし、四季の運行は滞りなく行われ、万物は成長し、問題はない、ということになるのですが、何も語らない天が、それでも、孔子に「命を出したのを知ったのは五十の時」というのです。
3人、皆、天命があるはず
天命は、孔子にのみ、与えられたものではないはずです。私たちひとり一人に、天は命(めい)を授けているはずです。
その天命を五十にして知ることになるか、五十にして天命を知ったことを、それから十年以上も経ってから、あるいは、死ぬ直前になってから、気づくことになるか、あるいは、天命を知ったことすら気づかないでいるかは別として、天命は、私たち皆に与えられているはずです。
今、人は、皆、日々の仕事に、勤しみ、何らかの形で、人様のお役に立っているはずですが、それが、天命なのかもしれません。もし、そうなら、この天命を大切にしたいものです。
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