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大切にしたいもの 10 各論

菊池捷男

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テーマ:大切にしたいもの

1 比喩
ここで、各論と言い、総論と言う言葉は、比喩として使っています。
総論とは、誰でも語れる一般論、抽象論を言います。
これに対して、各論とは、当該問題となっている事柄についての具体的な内容のある話を意味します。

2 例
難しいとされる試験の1つに司法試験がありますが、「司法試験に合格する方法は?」と訊かれて、「一生懸命に勉強すれば合格する。」と答える答しかできない場合の、この答を「総論」というのです。それに対して、より具体的な勉強方法を、細部にわたって話すことができれば、それが「各論」なのです。

3 総論と各論の違い
要は、総論は内容のない話、各論は内容のある話です。
総論は、内容のない話ですので、誰でも、何処でも、話すことが出来ます。少し新聞を読み、最近の政治状況を知れば、天下国家を論ずることすらできるのです。
しかし、各論は、各論の程度、深さにもよりますが、簡単に論ずることのできるものではありません。

4 各論を大切にしたいということの意味
各論を大切にしたいということは、人各自に与えられた本務を掘り下げて、学び、考え、それぞれ専門家になるくらいの学びを心掛けよという意味です。

5 深さは広さに通ずるが、広さが深さに通ずることはない
 この言葉は、今は亡き私の恩師が私に語って下さった言葉です。
この言葉をいただいたおかげで、私は、司法試験に集中し、没頭しました。そして弁護士になれたのですが、総論人間では司法試験に合格できません。しかし、弁護士になって、学ぶことをしないときは、弁護士の中の総論人間でしかありません。弁護士の仕事の中でも、総論では役に立たない、各論を語るのでないと人はついてこないと思うのです。

6 人は、その生きるべき道で名人となれ、余技の達人になるなかれ
 この言葉も同じ恩師から教えられた言葉です。深さは広さに通ずるが、広さが深さに通ずることはない、という言葉と通底する言葉だと思います。

7 人は、すべからく、各論人間になれ、総論人間になるかなれ
これは、私の言葉です。

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菊池捷男
専門家

菊池捷男(弁護士)

弁護士法人菊池綜合法律事務所

迅速(相談要請があれば原則その日の内に相談可能)、的確、丁寧(法律相談の回答は、文献や裁判例の裏付けを添付)に、相談者の立場でアドバイス

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