民法と税法 3 時効取得(財産を時効取得したときの税金と時効取得の時期)
養育費の支払を受けても、原則として、税金はかかりません。
しかし、養育費をまとめて支払った場合は?
1 養育費とは?
養育費とは、未成熟の子に対し扶養義務を有する者同士(例えば、父母)の間において、
一方(例えば、父)から他方(例えば、母)に支払う金銭をいいます。
2 所得税はかからない
所得税法9条1項は非課税になる所得を列挙していますが、その15号に「学資に充てるため給付される金品及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」は非課税所得とされています。
このうち、「扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品」が養育費です。
ですから、養育費の支払を受けても、所得税はかかりません。
3 贈与税もかからない
相続税法21条の3第1項は贈与税の非課税財産を定めた規定ですが、その2号に「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」を非課税としていますので、原則として、贈与税もかからないことになります。
4 では、離婚の際、子が成人に達するまでの分をまとめて、一括給付した場合は?
実は、これについては、ややこしい問題があります。
前述のように、相続税法21条の3第1項2号は「扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち通常必要と認められるもの」は非課税になるとしていますが、養育費をまとめて数百万円という規模で支払った場合は、「通常必要と認められる」範囲を超えているのではないかと疑われるからです。
5 相続税個別通達36昭和57.6.30直審5-5
国税庁は、養育費の一括給付が非課税になる場合として、
① 一括金を子名義の預金口座に振り込むこと
② 振込後、それを管理する者(例えば、母)は、信託銀行との間で、子を委託者兼受益者とし、信託銀行から、毎月、子に、一定額を支払うという、均等割給付金の受給を内容とする金銭信託契約を結ぶこと、しかも、その者(母)が、その契約を解除する場合は、養育費の支払者(例えば、父)の同意を必要とする旨の特約も定めること、
③ これらを調停調書にすること
を挙げています。
この要件を満たした場合は、一括給付金(要は、まとめてしはらった養育費)を支払って税金はかからない、と定めているのです。