親子の間の土地使用貸借
Q1 賃貸借契約が終了すれば、転貸借契約は当然に終了するか?
1 AB間で賃貸借契約を結び、
2 BC間で転貸借契約を結んだ後、
3 AB間の賃貸借契約が終了したとき、BC間の転貸借契約は自動的に終了し、Cは転借権を失うのか?
論理的には、BC間の転貸借契約は消滅することになるはずですが、最高裁はそうは考えていません。
1,合意解除の場合
最高裁昭和38.2.2判決は、特段の事由がない限り、転借人Cの権利は消滅しないと判示しています。これは、賃貸人と賃借人の話し合いで、転借人の権利を奪えない、という考えによるものです。
2,更新拒絶により契約が終了した場合
賃借人Bが契約の更新を拒絶することで、AB間の賃貸借契約が終了した場合
最高裁平成14.3.28判決は、AB間の賃貸借契約が更新拒絶によって終了しても、転借人Cの権利は消滅しないと判示しています。
これはBの意思1つでCの権利を消滅させることはできない、ということです。
3,債務不履行による解除の場合
AB間の賃貸借契約が、賃借人Bが債務不履行をしたためにAから解除された場合
最高裁平成9.2.25判決は、AB間の賃貸借契約が解除されると、Cの転借権はAに対抗できないものになり、Cの転借権は消滅するという判断をしました。ただ、この最高裁の見解は、平成9.2.25時点の判断ですが、最高裁は平成14.3.28に前述の2の判決を出していますので、これによって最高裁の考えは変更になったと考える学説(ジュリスト№1246の72ペジ)があります。最高裁が見解を変えたのだとすると、賃借人Bが債務不履行をしたためにAから賃貸借契約を解除された場合も、転借人Cの権利は消滅しないことになります。
転借人Cには何の責任もないのに、Bの責任(債務不履行)によって転借権が消滅するのは酷だとする考えによるものと思われます。
Q2 賃借人Bの権利は消滅したのに、転借人Cの権利は消滅しないとなると法律関係はどうなるのか?
これは、BC間の転貸借契約におけるBの地位をAが引き継ぐ結果、AC間で賃貸借契約が成立する関係になるとされています.