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コラム

「デパートの食堂での出来事」

2016年1月23日 公開 / 2016年3月5日更新

テーマ:暮らしの中で

コラムカテゴリ:スクール・習い事

先日、母とデパートの食堂に行った時のこと。

注文した料理が来るのを待っていると、後ろの方から大きな声がした。
振り返ると、40歳代の男性が 「注文が決まりました!」 と大きな声を上げていた。

こざっぱりとしたみなりのその男性は、1人で店に入れたことが嬉しそうに見えた。
知的障害のある人だった。

それから5分ぐらいたった時、
デパートの店長らしき男性が、制服に制帽姿のガードマンを伴って現れた。

食堂の支配人が、聞こえよがしに言った。
「他のお客様のご迷惑になるので・・・」

すると、店長らしき人は、その男性の元に行って、何か話を始めた。
その男性は、静かに話を聞いていた。決して暴れたり大声は出さなかった。

その後その男性は、店の人とガードマンに両側を支えられるようにして連れて行かれた。
その男性は、最後まで何も言わず、何の抵抗もしなかった。何も食べられなかった。

食堂の支配人が、レジの人に向かってまた言った。
「他のお客様に迷惑がかかるといけないからね・・・」

男性がガードマンに連れて行かれるのを、みんな見ていた。
誰も何も言わなかった。私もそうだった。

その時、母が小さな声で言った。
「別に何も迷惑かけられてないのに・・・」
「あっちのおばさんたちの方が、ずっと大声でうるさいじゃないの」
「食べさせてあげたかったわね」

「そうだね」 とこたえるのが精一杯だった。
なんだか胸が苦しくて、それ以上言葉が出なかった。

あの男性は、いつも迷惑がられて、あんな風に連れて行かれるのだろうか・・・
だれかと一緒だったら、あんな目に遭わなかったのだろうか・・・
「気の毒に」 と思った時点で、もう差別しているのだろうか・・・

どうすればよかったのだろう? 今も自問自答している。



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長野淳子

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