ビジネス変革:DX時代のスキル研鑽のためのマインドセット:学び続ける文化が大切です
このコラムはCxO(Chief x Officer)の方々を対象として書いています。
いつもは、一般のビジネスパーソンの方はマイベストプロのコラムを見てくださることがあると思い、ビジネスパーソンの方を対象としたコラムを書いています。
今回は、CxOの方々でも、マイベストプロのコラムを見てくださることを期待して書きます。
もちろん、一般のビジネスパーソンの方々もお読みいただけるよう、わかりやすく書こうと考えています。
CxOとは、「Chief=組織の責任者」+「x=業務・機能」+「Officer=執行役」の頭文字をとったもので、企業活動における業務や機能の責任者を指しまます。CEO(Chief Exective Officer=最高経営責任者)、CFO(Chief Financial Officer=最高財務責任者)のように、「x」に代入される頭文字によってその職務や職責が異なる、最高◯◯責任者のことです。
このコラムのテーマはDX(デジタル・トランスフォーメーション)です。
DXを「デジタル変革」と表現しているのをよく見聞きします。「デジタル変革」という言葉はITのこと、という間違った意識を植えつけやすいと危惧します。そこで、私はDXを「デジタル技術を活用したビジネス変革」と表現しています。
- 最初に、このテーマでコラムを書こうと思った理由を書きます。
- 次に、DXが確実に失敗するパターンを書きます。
- 最後に、どうしたら良いのかわからない方へ向けた処方箋として、私からの提案を書きます。
このコラムは下記の3つの章で構成します。10分程度で読める量です。
私は、ファシリテーションを核としたコンサルティング・サービスを営んでいる個人事業主です。屋号を BTFコンサルティングといいます。BTF は Business Transformation with Facilitation の頭文字をとりました。トランスフォーマーという映画をご存知の方がいらっしゃると思います。クルマがロボットに変身したり、ロボットがクルマに変身したりする映画です。トランスフォーメーション(transformation)とは変身させることです。ビジネス・トランスフォーメーションとはビジネスを変身させてしまうことです。ビジネス変革とも言われています。「ファシリテーションを活用してビジネス変革を実現して欲しい、そのためのお手伝いをしたい」と考え、この屋号にしました。
ファシリテーション。Facilitationという名詞です。「人と人が議論し合意形成をする。この活動が容易にできるように支援し、うまく合意形成できるようにする。」これを実現するためにはどうしたら良いのかという課題を科学的に考え、試行錯誤を繰り返しながら作りあげられた手法、これがファシリテーションです。ファシリテーションをする人をファシリテーター (facilitator) と言います。
1. このコラムを書こうと思った理由
この章では、このコラムを書こうと思った理由を説明します。
2021年5月12日に、IBMの Think 2021 というオンライン・イベントが開催されました。
Think 2021 のオープニング・セッションは、IBMの会長兼CEOのアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)が数社のCEOを招いて、成功事例を紹介する内容でした。
私はいくつかのセッションに参加しました。Think 2021で紹介されていたビジネス変革の成功事例を紹介し、セッションで語られていたことから成功要因を考えたコラム『ビジネス変革:世界の成功事例:成功要因を考える』を書きました。
DXの規模感を共有したいと思います。
IDC によれば、2021年からの3年間にDXに投資される金額は7.4兆ドルだそうです。1ドル110円とすると、814兆円もの投資が行われると予測しています。これは世界経済の10%に相当するそうです。世界中の多くの企業が、デジタル技術を活用したビジネス変革に本気で取り組む、という予測なのだろうと思います。
PwC によれば、2030年までに生産性向上により15.7兆ドルの効果が見込まれるそうです。上と同じ換算レートを用いれば、1,727兆円となります。
2021年からの3年間で814兆円の投資が行われ、2030年までに1,727兆円の効果が見込まれる。本気で取り組むべきものだと考えます。
日本ではDXへの取り組みが活発化しているように見えるものの、実態はDXが確実に失敗するパターンをトップ自らが選択している例が少なからずあるようです。トップの方々は本気で変わる必要がありそうです。
2章で書く「DXが確実に失敗するパターン」を選択するのであれば、私は「日本の多くの会社のDXは失敗に終わるのではないか」という危機意識を持っています。
他方、私は、ファシリテーションを核としたソフトスキルを活用して、ビジネス変革を実現していただきたい、そのためのお手伝いしたいと考え、ビジネスを開業した者です。私は多くの日本の会社のDXがうまくいって欲しいと考えています。このような考えから、このコラムを書こうと思いました。
次章では、DXが確実に失敗するパターンについて考えます。
2. DXが確実に失敗するパターン
この章では、DXが確実に失敗するパターン3つを書きます。参照資料をもとに考えていきます。
- 他社のコピぺはやめてください
- 丸投げはやめてください
- 「なんでもいいからDXをやれ」と命令しないでください
2.1. 他社のコピペはやめてください
この節の参照資料は、日経クロステックの2021年6月14日の記事『「日本企業のDX戦略はコピペ」、コンサルに丸投げするCIOとIT部門の惨状を暴く』です。
『(前略)そもそも多くの日本企業にまともなビジネス戦略があるのかどうかも疑わしい。(中略) だとしたら、大企業の中期経営計画などに盛り込まれているDX戦略なるものは、いったい誰がつくったのか。そりゃもう、コンサルタントがつくったに決まっているじゃないか。ただ、コンサルタントがつくったDX戦略がすごいかと言えばクエスチョンだ。この記事の冒頭で登場したCIOも「各企業が打ち出したDX戦略を読むと、どのコンサルティング会社に依頼したか分かるほどワンパターン。どれもコピペレベルの内容」と皮肉交じりに話していたな。まあ、この手のDX戦略は99%実現することはない。コンサルタントにつくってもらったとしても、経営者をはじめとする役員らが主体的に関わった戦略なら実践できるだろうが、外部の人に「コピペ」と見破られるような代物だと実践はどだい無理だ。実践するための戦略というよりも、単なる「IR資料」と見なしたほうがよいだろう。できるできないに関わりなくDXに取り組む構えを示すことで、株主や投資家の歓心を買おうというわけだ。(後略)』と課題を指摘しています。(黄色のマーカー部分は私が色をつけました)
コピペ(コピー・アンド・ペースト)で他社の成功事例をつまみ食いしよう、というアプローチではビジネス変革はうまく行きません。A社が成功できたのは、それまでに積み上げられてきた文化や変革力などがあって達成できたことです。文化が異なり変革力も異なる会社がA社と同じことをしてもうまくいきません。ビジネス変革は、うわべだけマネをしてもうまくいきません。
日本だけでなく海外でもコピペしたくなってしまうCxOはいるようです。
今、私たちは先が見通しにくい予測困難な時代にいます。こんな時代に合う会社の形があります。アジャイルな会社というものです。
私のコラム『組織力強化:アジャイルな会社とは:イノベーションを実現するために』では、文字数の関係で割愛してしまった有害なアプローチがあります。
アジャイルな会社に変革することは、会社のビジネスのやり方を大きく変えてしまう程のマグニチュードの大きな変革です。
ビジネス変革も、会社のビジネスを変身させてしまうほどのマグニチュードの大きな変革です。
アジャイルな会社への変革とビジネス変革は、多くの点で似ています。
なお、アジャイルな会社についての説明は文字数の観点で省略します。ご関心をお持ちの方は、上のリンクを辿ってください。
その有害なアプローチとは、『その場しのぎのアジャイル(Agile as Quick Fix)』です。
この事例は、書籍 "Doing Agile Right"(ISBN978-1633698703)に書かれています。
書籍 "Doing Agile Right" (正しくアジャイルする)は、"Transformation Without Chaos"(カオスなしの変革)という副題がついたハーバード・ビジネス・レビュー・プレスが出版したものです。出版日は2020年5月26日ですから比較的新しい本です。
著者は、ベイン・アンド・カンパニーのコンサルタント、Darrell Rigby、Sarah Elk、Steve Berezの3名です。
急な戦略上の脅威に直面し、抜本的な変化をする必要が出て、ビッグバンを追求する。そして、いくつかの事業領域で、一度に何もかもアジャイルに変革してしまう。こういうことをした事例があるそうです。
ビッグバン的なものよりも、もっと一般的に官僚組織の人たちが好きなイノベーション・ツールは、他社をコピーすることだ、としています。コピーとは言わずに、「ベンチマークする」、「コンペティティブ・インテリジェンス」、「ファスト・フォロワーになる」、など聞きざわりの良い言葉を使いたがる人たちがいます。しかし、要約すればコピーだと "Doing Agile Right" (正しくアジャイルする)の著者は切り捨てています。
先行している成功事例を真似してコピーしたいと思う気持ちはわからないではありませんが、トップがアジャイルに対して深い造詣を持つことが成功要因となるのだろう、と私は考えます。自分自身の言葉で、自分たちのビジネスの観点で、アジャイルは何ができるのか、自社ではどう使うべきなのかを語ることは必須なのだ、と私は考えるのです。
"Doing Agile Right"(正しくアジャイルする) では、アジャイルの先駆者として Spotify がよく出てきます。Spotify はアジャイルを学びアジャイルの原則を自社に適用するのに年単位の時間がかかったそうです。ちょこちょこっと複製しちゃおう、美味しいところをいただいちゃおうというのは虫が良すぎる、というか大怪我の基でしょう。ですから有害なアプローチなのです。
成功した会社の組織図を自社にコピーしようとか、斬新なオフィスを自社にもコピーしよう、というのは失敗するそうです。
アジャイルな会社への変革もビジネス変革も終わりのない旅であり、コピペ・プロジェクトではありません。新しいビジネスモデルを創り、それに慣れるには時間が必要でしょう。試して結果を振り返り学ぶこと。そして一歩づつ規模を大きくしていくこと。学習する組織。学び続けることが不可欠でしょう。
2.2. 丸投げはやめてください
この節の参照資料は、ITメディア・エンタープライズの2021年11月26日の記事『ベンダー丸投げ「肯定派が6割」の衝撃 大企業がDXでズブズブ依存を抜けるには』です。
丸投げする姿勢では成功はあり得ないでしょう。DXの鍵となる代表的デジタル技術、RPA、AI、IoT、ブロックチェーン、5Gなどは、ビジネスの観点で何ができるものなのか、どう自分たちのビジネスを変えることができるのか、この辺りがわからないトップでは、デジタル技術を活用したビジネス変革は成功できません。
1章で書いた「2021年からの3年間で814兆円の投資が行われ、2030年までに1,727兆円の効果が見込まれる。」という規模。
私は、大きな規模だと思います。世界中の会社がここに関わりたいと戦略を立て戦略を実施しているのだろうと思います。
成功事例は、1章で引用したコラム『ビジネス変革:世界の成功事例:成功要因を考える』で紹介しています。
丸投げしてうまくいくほど甘くありません。
では、どうすれば良いのか。3章で詳しく述べます。
2.3. 「なんでもいいからDXをやれ」と命令しないでください
この節の参照資料は、ダイヤモンド・オンラインの2021年6月17日の記事『経営陣の「なんでもいいからDXをやれ!」の号令が陥る罠』です。
『なんでもいいから』とは無責任すぎます。戦略がありません。確実に失敗します。
言い換えると、『何をやったらいいのかわからない』ので、『なんでもいいから』と言ってしまうのかもしれません。
次章では、どうすれば良いのかを考えます。
3. どうしたら良いかわからない方への処方箋
私は『ビジネス変革:世界の成功事例:成功要因を考える』というコラムを書きました。
そのコラムの中で、ビジネス変革の成功要因として下記の5つをあげました。
- トップのデジタル・リテラシー
- 顧客体験価値に徹底的にこだわる
- アジャイルな働き方
- データを活用した客観的な分析
- ソフトスキル
この章では、どうしたら良いかわからない方への処方箋として、トップのデジタルリテラシー、顧客体験に徹底的にこだわる、アジャイル、の3つを考えたいと思います。
3.1. トップのデジタル・リテラシー
リテラシー(literacy)。ご存知の方が多いとは思いますが、言葉の定義から始めたいと思います。
もともとは読み書きの識字能力という意味から使われ始めた言葉だと思います。今は、識字能力に加えて、特定の分野の技能、知識、能力という意味でも使われるようになりました。
ビジネスの観点から、デジタル技術がビジネスに与えるインパクトがわかっていること、わかろうと学び続けること、そうした行動を通してデジタル技術について自分の言葉で語れるようになること、そうした能力をこのコラムでは「デジタル・リテラシー」という言葉で表現します。
トップのデジタル・リテラシーは必須です。DX成功のための必須要件です。
IBMのイベントThink 2021で紹介された成功事例は、どれも会社のトップがデジタルに対して造詣が深いということが印象的でした。CEOに限らずCxOレベルの方々は深い造詣を持っていました。
技術的な詳細を知る必要は全くなくて、ビジネスの観点でデジタルは何ができるのかを自分なりに深く理解していることが大切だ、と私は考えます。学びが大切です。
DXの鍵となる代表的デジタル技術、RPA、AI、IoT、ブロックチェーン、5Gなどは、自分たちのビジネスの観点で何ができるものなのか、どう自分たちのビジネスを変えることができるのか、この辺りがわかるトップになることが必須です。自分の言葉で語れるようになることが必須です。2021年からの3年間で814兆円の投資が行われ、2030年までに1,727兆円の効果が見込まれる規模感の世界に入っていくために。
成功事例の会社のCxOの方々も、おそらく数年前はデジタル技術についての知識は浅かったのだろう、と私は思います。事例を研究し学んだのだろうと推察します。先行事例を見学に行くこともしたでしょう。百聞は一見に如かずですから。社内で勉強会を開いたかもしれません。
今学びを始めれば、なんとか追いつけるかもしれません。
3.2. 顧客体験価値に徹底的にこだわる
DXと言われても、正直何をやったらいいのかわからない、というCxOの方もおられるだろうと私は思っています。
ひとつの方法は、顧客があなたの会社の商品やサービスを通して体験する価値(顧客体験価値)を向上させることに徹底的にこだわることです。
社内を向いた部門内の改善活動的なものではなく、社外を向くということです。
ジョブ理論(JTBD: Jobs To Be Done)になりますが、顧客はあなたの会社の商品やサービスが欲しいわけではありません。何かやりたいこと(jobs to be done)があって、それを満たすためにあなたの会社の商品やサービスを利用します。
例えば食事。
空腹を満たすため。短時間でささっと済ませたい。こういう場合であればファストフードでいいでしょう。コンビニのおにぎりやサンドイッチで良いかもしれません。
大切な人と思い出に残るような食事を楽しみたいという場合は、レストランや料亭にいく場合もあるでしょう。
顧客がやりたいこと。それを満たすことを顧客が体験する。よりよく体験する。その体験により高い価値を顧客が感じる。そうした顧客体験価値にこだわると、現行のビジネスを変革する必要が出てくるかもしれません。デジタル・リテラシーのあるトップの方であれば、そのビジネス変革にはどんなデジタル技術が活用できそうかがわかるはずです。ビジネス戦略の大きな方向性を示すことができるはずです。
アマゾンで何かを買ったご経験をお持ちの方は多くいらっしゃると思います。
あなたにおすすめの商品や、この商品を買った人はこんな商品も買っているという商品リストを表示してきます。アマゾンは、あなたが購入した商品をデータとして蓄積しています。また、ある人が購入した商品データを蓄積しているから、「この商品を買った人はこんな商品も買っていますよ」という情報を提供できるのです。
例えば、レストランの場合、顧客にお客様登録をしていただき、何人で来店し何を食べ何を飲んだのか等のデータを蓄積しておけば、その顧客の嗜好に合う旬の食材が入荷するときに、ピンポイントでその顧客に伝えることが可能になります。お客様登録しているすべての人に同じ情報を伝えるのではなく、個人の嗜好に刺さるような情報を伝えることができるようになります。来店確率が高くなるかもしれません。
具体的な技術的な解法は、デジタル技術の専門家に任せれば良いのです。
DXはデジタルが先にあるのではなく、先にビジネスをどうしたい・どう変革させたいというビジネス要件があって、次にそれを達成するツールとしてデジタル技術がある、と私は考えます。この考えの下、私はDXを「デジタル技術を活用したビジネス変革」と表現しています。
なお、顧客体験価値にこだわることの必要性について、アクセンチュアとIBMのレポートを参照しながら書いたコラム『ビジネス変革:顧客体験価値にこだわる:具体策を考える』で、詳しく考察しています。
3.3 アジャイル
アジャイル。英語のagileで「機敏な」という意味の形容詞です。
アジャイルはソフトウェア開発で使われている開発方法の1つです。ソフトウェア開発で使われている方法を、ソフトウェア開発以外でも見聞きするようになっています。例えば、働き方、経営、組織文化。
今後2〜3年の計画を立て、計画したことを実施する。このアプローチでビジネスを行っていた方々が多いのだろうと思います。
ところがVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityの頭文字)の時代になり、加えて突然のパンデミック。さらに地球温暖化などによって、今後もブラックスワン(滅多に起こらないと言われているものの、いざ起こってしまうと壊滅的被害をもたらす事象)の可能性があります。新型コロナウイルス以外のパンデミックは今後数年毎に発生するかもしれないと言う人もいます。
先が見通しにくい予測困難な時代です。
書籍 "Doing Agile Right"(正しくアジャイルする) では下記のように指摘しています。
『問題を分析し、アイデアを出し、製品やサービスが世に出る時点での具体的な要件を予測し、設計し、開発し、テストや検証を行い、世に出す。そして世に出た後は保守を行う。という一連のことがベルトコンベアに乗ったかのように実施されていく。ベルトコンベアは逆には動かない。』
今までは(あるいは今でも)このようにビジネスをしておられる会社があると思います。
滝の水は上から下に落ちていきます。ベルトコンベア型のビジネスのやり方を、ウォーターフォール型と言う場合があります。
昔はこれでもよかったのです。
でも、今は予測困難な時代です。例えば上の段落の「製品やサービスが世に出る時点での具体的な要件を予測する」。製品やサービスが世に出る1年先2年先を予測することは不可能なのです。1年先2年先の世界は予想もしなかった世界になっているかもしれません。予測困難なことを予測することは非常に困難です。博打(ばくち)と表現しても良いかもしれません。
にもかかわらず、今までと同じように、予測し、人に命令し、人を機械を扱うように操作するというやり方では、「予測不能で加速する変化の中でも、繁栄するビジネスを築く」ことを実現することは出来ません。
このような時代背景の中で、"Doing Agile Right" (正しくアジャイルする)はアジャイルな会社(Agile Enterprise)が必要だと主張しています。
アジャイルな会社での働き方はアジャイルになります。
ところで、「失敗」という言葉を辞書で調べると、「やり損なうこと」、「⽬的を果たせないこと」、「予期した効果をあげられないこと」とあります。
そうした事態をできるだけ避けるために、機敏に(アジャイルに)対応することが必要です。
このまま行ったら失敗しそうだ、と気づいたならば、少し戻って違うやり方でやれば良いのです。これを機敏に(アジャイルに)やることが必要です。大きな失敗から回復するのは大変ですが、小さな失敗(というか小さな失敗をすることになりそうだという予兆)から回復する(少し戻って違うやり方でやる)ことは比較的簡単です。
自転車に乗って転んだご経験はありますか?
以前に危ない体験をした、失敗とまではいかなかったものの石を踏んでバランスを崩し冷や汗をかいた。その体験を振り返って「あのくらいの大きさの石を踏むと危険だ」と学習する。次に走る時には、学習したことを活かしながら走る。そしてまた振り返る。「前回学習したことを活かせた。集中して走ることは大切だな。」と学習する。この学習のサイクルを機敏に(アジャイルに)繰り返す。
例えて言うと、アジャイルに働くということは、こんな感じです。
なお、アジャイルな会社については、『組織力強化:アジャイルな会社とは:イノベーションを実現するために』というコラムで、アジャイルな会社に変革するためのポイントを、私の観点で切り出しています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。