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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

浜の真砂は尽きねども ~私が遭遇したいろいろな勧誘の履歴

2022年6月9日

テーマ:新橋事務所日記

コラムカテゴリ:ビジネス


【今日のポイント】

 今日は個人的な昔話、といった類の内容です。
同世代の方なら「あるある」「あったあった」と共感してもらえるのでは?

 今も昔も、
うまい話(うまそうな?)
出来過ぎた話
胡散臭い話
もろ怪しい話

など等を持ちかけられたという話は、後を絶ちません。

 今回は、いつもとは異なる趣旨ですが、
私自身がこれまで遭遇してきた「この手の勧誘」を時系列に紹介したいと思います。

【学生時代の話】

 高校生、大学生のころは概ね「怪しい物品の押し売り」系のものでした。

 このケースでは、相手は路上駐車の車内から下校途中の生徒や学生に声をかけて
立ち止まったり、近づいたら一巻の終わり?といったものでした。

 新宿や渋谷にはいきなり路上でアンケートのお願いという名目で声をかけて
適当な項目の後に(本命の)聞いたことないサークルの会員権や格安映画観賞券なる
代物を売りつけるものがありました。

 両者に共通したのは、
いかにも小遣いを持ってそうで気が弱そうな、土地勘がなさそうな
人物をターゲットにしていた点でした。

 口をはさむ隙を与えずにまくし立てて、ついお金を差し出したり、
2,3千円で済むならこの場を離れたいといった想いで払ってしまう。

 唐突なアプローチとマシンガントークでペースを握る「技」の前には
純朴な未成年はいちころ、でした。
 
 大学の時代には、これらに加えて「教材販売」の勧誘が加わりました。
「英会話習得の切り札」「この教材で英検合格は確実」といった謳い文句で
「教材一式」を売り込む手口です。

 正確な価格は忘れましたが、10万円前後はしたと思います。
ここでも流麗な言葉の洪水で、ペースをコントロールしてきましたし、
多くの場合、近場の喫茶店へ誘うのです。

 これも学生心理をうまく衝いたやり口で、200円程度のコーヒーを
おごってもらったことで無下に退散出来ない、買わなければいけない?
といった心理に追い込むやり方でした。

 当時はクーリングオフ制度はまだ未整備だったと記憶してますし、
仮にあったとしても学生の身では調べようもなかったでしょう。

 これに応じた友人の話では、ローンを組まされ保証人として
親の連絡先まで記載させられたとのことです。

 案外本当の狙いは、これだったのかもしれません。

 このケースでも、ターゲットにされていたのは、
上京したての学生や、NOと言えなさそうな雰囲気が感じられる学生が大半でした。

【新入社員時代の話】

社会人なりたての時代にも、いろいろありました。

 今では考えられないことですが、
本社ビルに堂々と生保レディや証券マンが出入りしてました。

 自社ビルで、1階に受付や守衛所があるにもかかわらず、昼休みのベルと共に
この手の営業部隊が各フロアに突入してくるのです。

 部外秘の資料や売り上げ計画の書類などが開きっぱなしのまま
各人のデスク横に陣取っての商品説明の開始です。

 この商談自体は前項に採り上げたような胡散臭い勧誘ではありません。
ですが、ここでも絶好のターゲットとなるのは、優柔不断、NOと言えないメンバーでした。
ひとたびロックオンしたらマシンガントークによる「契約締結」までは電車道です。

 なかには断り切れずに複数の契約を結んでしまったスタッフも。

 この時代の胡散臭い勧誘としては、
以前の路上での勧誘の代わりに、職場へ直接の電話営業がありました。

 新人向けに多かったのは学生時代同様「英会話教材」「英会話教室」の営業電話でした。

 この手の場合、
とにもかくにも取り次いでもらうために「学生時代の仲間」と称したり
一般的に多い名字を名乗って、いかにも知人の中の誰か?を装うなど、
手口が悪質なものが多かったと記憶しています。 

【中堅社員時代の話】

 私の中ではこの中堅社員時代が最も活発な(胡散臭い)勧誘が続きました。

 曰く、
マンション投資で小遣い稼ぎ
先物取引で堅実な?副収入を確保
未公開株情報を格安で提供
名も聞いたこともない新興国への投資
これから国家資格になる有望資格向けのセミナー

 など等、今の時代でも通用するようなものと遭遇しました。

 よく紹介されていますが、彼らのアプローチは巧妙でした。
前項のような友人知人を装って取り次いでもらうことはもちろん、
始業時間の直前や直後と言ったあわただしい時間帯を狙っての電話攻勢です。

 電話の時間帯としては、始業直後に加えて昼休み直前、退社直前に電話する等、
長電話を避けたいがために面会を受諾するように仕向けてきました。

 中には営業所のあるビル内の公衆電話からかけてくる確信犯もいました。

 当時はインターネットもメールもなく、まして携帯電話もない時代です。
個人情報とも言える職場の連絡先をどうやって調べたのか? 今も不思議です。

 中堅社員となれば、役職に就いたり、営業所の次席という立場になってきます。
それなりに世間体を気にしますから、営業所には変な人物に来て欲しくない、
上司に見られたくない等の躊躇が、外で会うことを承諾したり、1対1での面談を
受けてしまうのです。

 これも、先方の想定した手口と、私は勘繰っています…

【そして今】

 そして、50代から60代になった今の時代でも、勧誘は続きます。

 勧誘の大半は、「定年後のハッピーライフのために」が謳い文句です。

 マンション経営、又は不動産投資で悠々自適のセカンドライフを!?
 起業希望者向けのセミナー開催、これで貴方もオーナーへ!?
 SNS初心者向け講習会、再就職・転職に有利なスキルを今のうちに!?
 フランチャイズ募集、複数店舗のオーナーも夢ではありません!?

 第二の仕事に悩む世代にとって、「甘く危険な臭い」が近寄ってきます。。

 この世代がよく陥ってしまうのが、
長年社会人としての経験からくる「根拠不明な自負」による失敗です。

「私だけはだまされない。」
「自分ならうまくいける。」

 こういうタイプの方から相談を受けた場合、
ほぼ間違いなく自分と異なる視点や分析結果には拒否反応を示します。

 全ては自己責任ですから、こちらが矯正を強いるつもりもありませんが、
その後、成功談を報告してくれた方には今まで巡り合っていません。

 残念ながらこの手の後日談で漏れ聞こえてくるのは、

「いい年をしてこんな話に騙された。」
「こんな恥を、家族には言えない、誰にも相談も出来ない。」

 と言って泣き寝入りするケースです。

 特にこれまで私のような胡散臭い勧誘の経験が(幸か不幸か)無かった方ほど、
簡単に信じ込んでしまう傾向にあるようです。 要注意ですね。




 以上、私の拙い経験だけを振り返ってみても、
各時代にそれぞれ多様な(胡散臭い)勧誘がありました。

 まとめになりますが、冒頭の「学生時代の怪しい勧誘」は
特に現在、18歳以上は一般成人の扱いとなっていますから、
「成人としての自己責任」を問われることになりました。

 高校卒業直後で、社会人経験皆無な「一般成人」は
ここに挙げてきたような「商売人」から見れば「絶好の獲物」です。

 本人の自覚もさることながら、
親の責任として、この手の悪質な勧誘や契約の実態を教えることです。

 加えて、定年を目前にした親自身の方も、
同様な胡散臭い商売の話に乗せられないような「耐性」を習得しなくてはいけません。


 令和の今は、コロナ禍や欧州の政情不安、円安など等、波乱続きです。
このような不安が漂う時代には、いつもに増して怪しいビジネスが増殖します。


 会社勤めも安泰とは言えなくなった時代、
再就職、転職、雇用延長のどれもが不確定要素を含んでいます。
起業・独立にしてもまだ向かい風は吹き止んではいません。

 学生時代に受けた損害や失敗も打撃ではありますが、
まだ「安くはないが、勉強代」と考えることも可能でしょう。

 バリバリの中堅世代の時の株の損失や、無意味な講座受講も
多くの場合、負の社会勉強の一つと今後の戒めにすることは可能です。
 
 それに反して、シニア世代の場合は…

 もう失敗は許されない、
 一度の失敗が致命傷になり兼ねない。

 いわばワンストライクアウトの状況なのです。

 「なぜこんなうまい話が、世間的に知れ渡っていないのか?」
 「なぜ、自分に向けてこの話を持ち掛けて来るのか?」

 最低限この2点だけは、意識しておくことで、
致命的な失敗のリスクを、ある程度は避けることが出来ます。

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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