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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

2024年の職場の変化について考える

2024年4月5日 公開 / 2024年4月6日更新

テーマ:最近の話題から

コラムカテゴリ:ビジネス


【はじめに】

 早いものでもう4月、今年の1/3が過ぎた訳ですね。
4月最初の週末は事務所で静かに事務仕事です。

 さて、この4年間のコロナ禍で多くの変化が社会の中で生じました。

 仕事のあり方や進め方も例外ではなく、
コロナ終息後も以前と同じには戻らない、
新しいルールに変化したものも少なくありません。

 今回は仕事に関係する「人」「場所」「時間」の3つが
どういう変化を生じたのかを簡単に紹介したいと思います。

【人の変化】

 コロナ禍によって想定外の業績不振に陥った結果、
リストラ~余剰人員の調整や、最少人数での業務遂行を図るための
技術改革や省力化を前倒しして効率化や体質強化を図った結果、
コロナ終息後も、最小の人数のままでの業務遂行を改めることはなく、
特に間接部門に関しては今後も進みこそすれ、コロナ前の人員配置に戻ることは
あまり期待出来ないようです。

 一般社員のみならず、中間管理職等は体制改革の矢面となり、
リモートワークでも人員削減でも業務管理に支障ないという部署では
大幅な組織縮小や統合、合理化によって部下なし、役職無しの管理職や
役職定年制の前倒しが促進されるでしょう。

【勤務場所の変化】

 在宅勤務、リモートワークで従来通りの成果が確保出来たとなれば、
わざわざ家賃の高い都心に本社を置くことの是非が問われます。

 前述したように従業員数が減少すれば、
今の施設のサイズでなくとも問題なし、却って余剰設備となれば、
本社部門をダウンサイジングしたり、郊外への移転現実味を帯びてきます。

 同様にこれまで同一エリアに複数あった営業拠点等も
思い切った統廃合が行われてもおかしくはありません。

 リモートワークがほぼ常態化してしまった現在、
全員が同じ施設(本社等)に出社し、同じフロアで仕事をする意味が薄れ、
交替制の出勤となれば什器やパソコン等の装備も半減出来るのです。

 より話が進めば拠点自体、
あえて都心の立地に拘ることも無くなりました。

 社員が毎日の通勤ラッシュから
週3日出勤等のような勤務体系に変われば
通勤の負荷はさほどのものではないはずですし、
郊外への移転ならラッシュと反対方向にもなります。
却って快適な通勤時間になるかもしれませんね。

【拘束時間の変化】

 業務時間以外の拘束時間と言えば前項でも触れた「通勤時間」です。
その拠点への出勤自体がリモートワーク、自宅勤務の増加により
大幅に軽減されてきます。

 これによって生じた「余裕時間」が、今後は大きな意味を持ってきます。

 仮に朝夕で2時間の通勤所要時間が全廃、あるいは週半分だけになれば
何が出来るでしょうか?

 資格取得の為の学習、スキルアップの為の講座受講、
場合によっては自宅近くでの副業(アルバイト等含め)も可能です。

 この手に入れた時間を将来の自分の為にどう使うかが、
特にシニア世代の第二の人生に大きく影響するのです。

【見直しが強いられる働き方】

 コロナ前までは、決まった時間に同じ会社施設に出社し、
決まった時間から部署のメンバ―全員で一斉に仕事を始める。

 同じ時間に昼食休憩が始まり(フレックスを除く)同じ時間まで
業務に従事し、毎日ほぼ同じ時間帯に退社する。

 朝の始業前後にはメンバー同士で世間話や上司が部下の様子を
それとなく聞き出したり、部署によっては3分間スピーチ等の
朝の恒例行事を実行しているでしょう。

 メンバーの中にはいわゆる「ムードメーカー」的な役回りで
存在感を示す者、対立の場面でうまく調整を図る者など、
本来業務に見劣りがしても、それ以外の役割を果たすことで
結果的にチーム全体の連帯感や一体感を生み出す役目を果たしている
ケースがあり、それが許されるような職場環境でした。

 勤務中に他部門との打ち合わせや、情報収集等の名目で
他部門の同僚や後輩とのやりとりも当たり前に行われてきました。

 2024年以降、
ある意味「古き良き時代の働き方、職場環境」は
大きく変貌を遂げたと私は考えます。

1)必要最小限のメンバーの厳選
 全員一緒の職場と言う考えが無くなれば、
職場に顔を出すのが半分以下と言った環境であれば、
ムードメーカーの存在価値は薄れます。

 調整役もリモートワークやリモート会議が主流になれば
その活躍の場は大幅に減少しますし、そもそも求められることが
なくなる可能性も出てきます。

 さらにパソコンのスキルやデジタル機器の使いこなしが優先され、
今までのような文書の回覧ではなく一斉メールやlineでの情報交換が
常態化すれば、それに対応出来ないメンバーには居場所がありません。

 気分転換でちょっと喫煙ルームへ、込み入った話だから外のサテンで。
こういったイレギュラーな勤務も相手が出社していなければ成立しませんし
会社が移転し、近くに打合せ用のサテンがないというケースもあります。

 アフター5の「夜の打ち合わせ」「職場のコミュニケーション」の名目での
飲み会なども今までよりはかなり限られたケースでしか叶わなくなるでしょう。

2)職場環境の激変
 これまで当たり前だった通勤、当たり前だった職場に全員が揃っての始業
こういった日常に慣れ親しんできたシニア世代には自宅でひとり、
息抜きの会話を隣席のメンバーとする機会も無くなり、ランチタイムもひとり、

 こういった仕事の仕方に馴染めずにいる中で、管理職の方はさらに
自分がいなくても何ら問題なく業務が進んでいくことに自信喪失に陥る方も
いました。 自身の存在意義、存在価値に疑問や不安を持ってしまったのです。

 もっと言えば、
今までは慣例で配置してきた部長代理、課長代理といったポジションも不要、
管理職の削減と言う組織変更にも大きなストレスを感じるケースがありました。

【限られた時間の使い方】

 管理職と言えど、週3日の出社で十分とされ、出社しても部下は半減、
下手をすれば自分だけが出社と言うケースが当たり前に。

 やりとりの大半がメールとなり、
無駄話と言う名のコミュニケーションツールも使用困難になった新たな職場。

 唯一、自由に使える時間だけは従来と比べ増加はしました。
でもその時間を何にどう使えばいいかが分からない、
これがシニア世代の偽らざる本音ではないでしょうか?

 今の職場に適応することを目指すならばパソコン教室もアリですし、
リモートワークの講習会等への参加はスキルアップに繋がります。

 見切りをつけたのであれば、転職を目指すならば中途採用の情報収集に
起業・独立を目指すならば事業計画の立案や適性診断を受けるのもいいでしょう。

 中には趣味の時間として使いたい、健康維持の為の運動をするなどもあるでしょう。
 

【おわりに】 

 最後になりますが、ここに挙げた内容はシニア世代への警鐘だけではありません。
シニアまでは行かなくとも40代以下の世代でもこれまでは会社、上司から与えられた
目標に対して、いかに結果を出していくかが仕事の基本形態でした。

 ですが最後に挙げた「自由時間を自分の為に有効に活用しなさい」
こういった自らが問題を探し出し、それに向けて自身の判断で結果を導き出す。

 この課題に対してはなかなか若手と言えど苦戦しているのが私の実感です。
特に大企業であればあるほど、自由裁量などはまず存在しませんでしたから
習ってもいない慣れてもいないことが明日からの仕事と言われればどうでしょうか?

 折しも4月は多くの企業では新入社員が入社し、配属される月でもあります。
今年の新入社員は4年のコロナ禍がちょうど4年間の学生生活に重なった世代です。
学生時代に濃密な人間関係を作る貴重な時間を過ごせなかった世代です。

 彼らを一人前の企業人として育成する側も、この4年間は対面での教育や指導が
思うように出来なかったことで、お互いが手探り状態でのスタートになります。

 双方が初めての経験となる新しい仕事の形と職場での仕事の進め方、
企業の中核を担う中堅からシニア世代にはより覚悟が求められる年度始めです。
 

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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