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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

おひとり様予備軍の心得 その2

2022年8月23日

テーマ:新橋事務所日記

コラムカテゴリ:くらし


【今日のポイント】

 前回に引き続き、
おひとり様予備軍が今から備えておくべきことについて紹介します。

 おひとり様になった場合、
終活支援のサービスの相手先や、場合によっては
今暮らしている自治体への具体的な情報提供項目のひとつとして
紹介したいと思います。

【共有すべき情報とは?】

 夫婦二人、あるいは親子二人で暮らすおひとり様予備軍の場合は、
共に知っておくべき共有情報として、まずは以下の項目が挙げられます。


1)本籍地、現住所と氏名
 意外にうろ覚えなのがお互いの本籍地です。
中には、長年配偶者の本籍地を間違えたままというケースがありました。
他にも子供が親に内緒で、本籍地を変更していたという事例もありました。

 夫婦・親子間で現住所や氏名は問題ないと思いますが、
どちらかが出先や外出移動中に何かあった場合に速やかに連絡が届くよう、
常に記録したものを身に着けておくのも重要なことです。

2)緊急時の連絡先(マンションの管理人、勤務先や友人関係など)
 おひとり様にとっては必須、予備軍の場合でも夫婦・親子以外に
ここに挙げたような連絡先を確保しておきたいものです。
 特に親子で別居の場合は、おひとり様と同じことですから、
必ずお互いの緊急時の連絡先を確認しあうことが欠かせません。

3)現在利用中の支援サービスの有無と連絡先
 同居している場合は、ほぼ確認していると思われますが、
やはり別居の場合には、共有が欠かせない個人情報と言えるでしょう。

4)同様にかかりつけ医がいればその連絡先
 長年の通院であれば、お互い何となく把握しているものの、
最近になっての通院は、意外に把握していないケースが見受けられます。

 より厄介なのは、心身健康の極みで今まで医者にかかったことがない。
この様な方ほど、いざという時の救命措置の初動に支障をきたしてしまいます。

 仮にリタイア後であれば、
自治体からの健康診断の案内時に、診てもらった医院を緊急時の連絡先として
考えてもいいかと思います。

5)既往症やアレルギーの有無等の情報
 上記と連動するものですが、これらの情報をお互いが正確に把握しておきませんと、
初期の治療時の投薬や処置方法に悪影響を与えかねません。
 特にアレルギーの有無やその種類に関しては、常に最新の情報として把握すべきです。

6)エンディングノートの有無と保管場所
 最近は、エンディングノートを用意すること自体には抵抗を感じなくなった、
とりあえずノートの作成は始めているという方が目立ってきました。

 ですが、その存在を相手に伝えているかに関してはまだまだ不十分なようです。

 また、主に男性に目立つのが一度作成したらそれでおしまい、という「勘違い」です。
1年2年と時間が経過すれば、内容にも実態と会わなくなる項目が出てきて当然です。
 少なくとも年に一度は中身を読み返して実情にそぐわないものは迅速に書き換えましょう。次に紹介する遺言書と違い、エンディングノートは自分の意思だけで何度でも修正は可能です。

7)遺言書の有無と保管場所
 あまり実行されていない項目の筆頭?ともいえます。
その必要性や重要性については、他のコラムでも紹介していますので詳細は省きますが、子のいない夫婦の場合は、遺言書の有無で遺された側に想わぬ負担や想定外の迷惑をかけることがままあります。エンディングノートを用意したら、なるべく早いうちに遺言書についても向き合うべきです。

8)菩提寺や墓の有無と連絡先
 最近目立つのが、お互いが一人っ子同士の夫婦や、子供がひとりきりの家庭で菩提寺について何も伝えていなかったというケースです。

 せめてその有無だけでも伝えておきませんと、菩提寺があった場合は無縁墓になるケースが多い為、寺側にも迷惑をかけてしまいます。

 別のケースでは、配偶者の本家筋が絶えてしまい、分家にあたる配偶者がいつの間にか祭祀承継者になっていたケースも要注意です。本人も知らなかったケースもあれば、本人は連絡を受けていたもののそれを配偶者や子供に伝えないまま亡くなってしまえば、遺された側は知る由もありません。

9)臓器提供の意思表示
 これもなかなか浸透していない項目のひとつです。
本人の意思を表示するものですから、遺族は口を挟めない、
はずですが、やはり事前にその旨を伝えておきませんと、理屈では分かっても感情面で変なしこりを残すことにもなり兼ねません。 

 臓器提供以外にも献体の場合も同様に、生前に双方で合意しておきたいものです。

10)葬儀や納骨、遺品整理についての要望と生前契約の有無
 無神論者、無宗教であっても
この手の情報を相手に伝えておくのは自身の為というよりは、遺された家族の為の情報です。
 亡くなって初めて故人の宗派を知ったとか、菩提寺の存在を知ったという事例は決して少数派ではないのです。納骨にしても郷里の菩提寺で済ませるのか、新墓を望んでいたのか?
又は散骨や樹木葬が望みだったのか? 手元供養で十分と考えていたのか? 後になっていろいろ考えても正解は永遠に聞き出せないのです。

 遺品整理にしても、故人の趣味の収集品などはもしかしたら同じ趣味の友人に形見分けしたかった、実は非常に骨董価値があるものなので、その分野でのオークションや買い取り業者に高値で売却し、老後の資金にといった可能性もあります。

 ですがそれもこれも、相手に伝えておかなければどうにもなりません。

【共有化は相手の為】

 上記はあくまでも一般的な項目の紹介です。
前のコラムでも触れましたが、仮にペットを飼っているならば、
自分の死後のペットの預け先を考えておかなくてはいけません。

 特定財産の遺贈を考えている場合も、
その話を相手に伝えておかなければ、望みは叶いません。
その他にも個々の事情でいろいろな案件が、これに加わることと思います。

 これらについても、何かあってからでは調査も出来ませんし、
情報の整理や記録等も自身の手で行うことはほぼ不可能です。

 その影響は、最後は遺された家族が全て負うことになります。
心身共に健全な今だからこそ、お互いが知っておくべき情報の共有を図ることは、
自分以上に相手の為にこそ行う必要があるのです。

 まずは、お互いで自分に関する情報を確認する事、
これを手を付けるべき終活の第一歩として始めてみては如何でしょうか?

この記事を書いたプロ

寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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