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新谷千里

高利益を出すスーパーマーケットにするコンサルタント

新谷千里(しんがいちさと) / 経営コンサルタント

有限会社サミットリテイリングセンター

コラム

今からでも遅くない‼2017年末 「しっかり儲かる仕組み」をつくれ!【商人舎10月号】原稿

2017年10月10日 公開 / 2021年3月1日更新

テーマ:スーパーの営業戦略

コラムカテゴリ:ビジネス

年末年始は、スーパーマーケットにとって、年間トップの稼ぎ時です。
それを確実に現実化させるために、年末に向かって何をするべきかを、解説したいと思います。

ここで、「現実化させる」と言った意味は、売上高だけを考えるのでは無く、確実に高利益を残すということです。
当然ビジネスをやっているのですから、『儲け(営業利益)』を最大化させたいものです。出来れば、創業以来の新記録です。仮にそれが無理でも、ここ10年や5年の中でも構いません。

その為には、枝葉末節的な小手先のことではなく、コンセプトと勝てる戦略を確実に立てて、それを皆で共有化して、顧客に「良い体験」をしてもらうための正しい行動をとる必要が有ります。
そして、高い目標を達成することが出来れば、従業員も大いに「良い経験」をすることになると思います。


■ 節約志向は本当か?


「250品目値下げしました」や「消費者の財布の紐は固い・・・」などや、「節約志向の高まり」など、テレビや新聞の記事を目にしますが、本当に節約志向なのでしょうか。
確かに、物やサービスが安いことは、消費者にとって良いことです。
しかし、消費者の満足は、価格だけではありませんし、価格に見合う価値、またそれ以上であればお金を払うお客はいくらでもいると思います。また、そういうお店が有れば嬉しいと思います。

「消費者の財布の紐は固い・・・」は、価格以外の魅力をお客に対して打ち出せない、企業側の言い訳にしか私には聞こえません。事実、特別な価格を出さなくても、大いに元気なお店は沢山あります。値下げをしたからと言って、業績は好転するとは考えられません。

マーケティングの大原則は、「買いたくなるものを創り提供すること」だと私は考えています。
必需品は別として、見慣れた、何の感動もないものにお金を払うお客はいないと考えるべきでしょう。

新しい年を迎えることへの思いは特別なものが有ると思います。
お客のニーズを読み取り、自社独自の商品やサービスを打ち出し、顧客が見たことが無かった価値のある物やサービスを作り出すことが出来るか、まさにマーケティングの技術が試される時であると思います。


■ 『奮発したくなる』モノが売場に有るか?


「娘(息子)が可愛い孫を連れて実家に帰って来てくれる」と言う人や、「お正月ぐらい奮発したい」と考えている人は多いと思います。
特に、スーパーマーケットのターゲットである女性客は、その思いが強いと思います。

日々の買い物とハレの日の買い物、その違いを良く理解する必要が有ります。
また、特に現場で感じることは、女性客の買い物の考え方とスーパーの男性従業員の思いとのギャップが大きいと感じます。そういう意味では、女性従業員などの意見やアイデアを大いに聞き出すことも重要なことだと考えます。

生鮮部門では、鮮魚売り場のお造りの盛合せや海鮮寿司、そして、各種オードブルやおせち料理やカットフルーツ、そして各種デザートなど。テーブルを豪華に彩ってくれるアイテムに「どれくらいの魅力を感じてもらえるのか」が非常に重要な要素になります。 
確実に稼ぐ(値入れ幅を拡大する)には、お客の期待を大きく上回る商品化に重点を置くことです。
そこに焦点を当てて、MD計画をつくることが重要であるのです。

広告などを活用した優良他社の品揃えの研究や、自社の前年の品揃えアイテムの改善を考えます。商品化計画とそのための技術の向上、そして作業段取りを決定する必要が有ります。そのための研修スケジュールを計画的に行うことも必須になってきます。

商人舎10月号・1
商人舎10月号・2
商人舎10月号・3
グロサリー部門では、新規導入品について、年末商戦前に定期的に試食販売などを行い、お客に味を知ってもらうことや使い方の提案をすることが効果的です。
味や商品価値を伝える努力を行い、普段使いしてもらうことにも繋がり、期間の売上を押し上げることにもなります。


■ あくまでも売場の出来栄えが勝負


商品化の次は、売場づくりです。
効果的なのは、下の売場展開図面のように、各マグネットに重点アイテムや重点カテゴリーをレイアウト図に落とし込み、各売り上げ規模や販売数量、競合の販促スケジュールなどを加味して、優先順位を付けて、最も効果的であろう売場展開設定を行うことです。

            ※各アイテム(カテゴリー)別に配置を考える(図面は盆商戦)
商人舎10月号・4

【図表解説】
 ① 売場のレイアウトに重点アイテム(カテゴリー)を 配置
 ② 各アイテム(カテゴリー)別に昨年の売上高を記入(下記【重点カテゴリー・期間販売管理表】とリンク
   組みをする)
 ③ 一昨年の売上対比を入力

商人舎10月号・5
重要なポイントは、売り上げ規模の大きいアイテム(カテゴリー)を通過率の高いマグネットに優先して売場展開を考えることです。
『強いもの』を『強い場所』で展開することを確実に行ってください。
そして、関連購買や想起購買、衝動購買と商品特性から、効果性を考えた売場展開を行いましょう。


■ 数値管理は万全か?


しっかり稼ぐためには、数量管理が重要であることは言うまでもありません。
前年の実績データを、カテゴリー(用途関連や重点アイテム)毎に、日別・曜日別に数量、金額ともにまとめることをお奨めします。

昨年の実績の定量(数字で表せるもの)データと定性(数字以外の写真や文字)データに、今一度検証を加え、今年のトレンドや市場動向を加味して、計画をまとめ直すことです。
こうすることで、日別・曜日別の購買動向も正確に見て取れます。

また、定性データは、「売れた、売れなかった」「良かった、悪かった」という表現ではなく、4W1H的に具体的に、「今年はどうする」と今年の仮説を立てます。

             【重点カテゴリー・期間販売管理表】
商人舎10月号・5・2

【図表解説】
 ① 縦軸に重点カテゴリーまたは、重点アイテムの売上高(昨年対比)対象アイテムまたは、SKU
 ② 横軸に日付と日別の販売数量と販売金額
 ③  〃(中央)定性データ記入。具体的注意事項、今年の予測数量など
 ④ 各カテゴリーの写真。売場づくり、関連陳列、商品、POPなど
 ⑤ (右下)特記事項。ex.人に関わることなど

商人舎10月号・6・2

また、12月の仕入れ過多は、1月の資金繰りを悪化させる基となります。年末商材の11月からの売場展開も含め、仕入れのスケジュール管理、数量管理共に精度を確実に上げることが重要です。

言うまでもなく、仕入し過ぎは不良在庫となり、大きな商品ロスにもなりかねません。
また、欠品は、チャンスロスを生み、お客の不満の素になり、これも大きな損失になります。
どちらにしても、粗利益を大きく落とすこととなりますので、数量設定には十分に時間をかけてチェックを重ね、仕入れの精度(時期、数量)を上げる努力をしましょう。


■ フロントエンドとバックエンド


とは言え、年末のチラシを入れた初日に、どれくらい集客できるかは、この期間の売上高を大きく左右します。

フロントエンド(支持率の高いアイテムの特売価格、集客イベントなど)で、1人でも多く集客することが重要です。
新聞折り込みチラシや店内手配りチラシ、FacebookやLINE、予告POPやアナウンスなど、あらゆるものを駆使して、自店の集客システムを作り上げ、集客数アップを考えます。

売上を上げるには、①客数を増やす、②客単価を増やす、③購買頻度を増やす、しかないのです。短期の売上を考えるとき、フロントエンドの出来は、①の客数を増やすことに大きく関わり、売上を大きく左右します。

バックエンド(儲けの仕組み)は、前述した様に、お客の期待値を大きく上回り、「奮発をしたくなる」商品化が重要です。
そしてそれらの売場展開を中心に、徹底した用途関連の集合陳列や、重点アイテムの露出度を高めるなどして、衝動購買や想起購買、関連購買を促す売場づくりを徹底します。


■ 稼働計画


各販売部門のシフト管理、レジ部門のシフト管理を綿密に組むことが重要です。
特に、縦割りのシフトづくりではなく、事務担当者なども含めて、横断的なシフト計画を綿密に組むことが出来れば、現場の『ムリ』『ムダ』が解消されます。

重点売場や別注対応など、人時投入に優先順位を付けて戦略的に人時の投入計画を組みます。
特にここで重要になってくるのが、本部からの適切な指示と、店長のリーダーシップが問われることとなります。
計画が絵に描いた餅にならないためには、現場の一人ひとりが、力を出し合えるベストマッチの計画を各チーフとコミュニケーションを取って行うことが重要です。


■ 枝葉末節に陥るな


年間1番の営業利益獲得のチャンスで有るわけですから、絶好の機会を確実にものにするには、コンセプトをしっかりと確認し、戦略的に考えて行動することが重要になります。
その為には、お金の流れを総合的、そして、戦略的に管理することが重要です。

上記の様に、商品のこと、売場づくりのこと、人のこと、という様に考えなければならないことが多く有るわけですが、営業利益を拡大するためには、もう一方の目を持つことが必要です。

営業利益を拡大(創業以来の新記録)するためには、非常に重要な考え方です。
私の経験上、数字に弱い経営者、経営幹部、そして店長は意外に多いものです。

折角大きな売上を上げるチャンスなのですから、その伸び以上に儲けを拡大したいものです。

① チャンスロスを減らす(粗利益を上げる)
  先ず、チャンスロスです。ここで言うチャンスロスは、「有ったら売れるのに・・・」というアイテム
  のことです。「奮発したい」や 
  「時間を有効的に使いたい」というニーズに対して、「美味しい」「楽しい」「簡単便利」という
  コンセプトを持った、新規導入品を積極的に売場に投入することです。
  また、ロスの中にも、チャンスロスは有りますが、これは、単なる欠品です。
  これらが実行(改善)されれば、粗利益が確実に増えることになります。

② 根入れ高を上げる(粗利益を上げる)
  ここで考えたいのが、生鮮部門の商品群です。
  鮮魚売り場のお造りの盛合せや海鮮寿司、そして各種オードブルやおせち料理やカットフルー
  ツ、各種デザートなど、テーブルを豪華に彩ってくれる商品群です。
  独自性を出せれば、その分根入れ幅は、確実に拡大できることになります。
  その為にも、計画と商品化に向けた、担当者のスキルアップ計画が重要になってきます。

③ 人件費を戦略的に使う(人時生産性を上げる)
  先ず優先すべきは、「(売場に)出せたら売れたのに」「作れたら売れたのに」という、売り逃しを
  起こさないための対策です。短期のアルバイトも含めて、「ムラ」や「ムリ」が出ない様に役割
  分担を確実に行いたいものです。
  当然ですが、「ムダ」はいけません。費用対効果を考えて効果的に配分することを考えます。
  特に、店長は、全体のコミュニケーションをしっかりと取って、部門横断で、計画的な人時配分
  を計画することが重要です。
  単純に、粗利益が大きく増えて、人件費がさほど増えなければ、営業利益は大幅に拡大する
  こととなります。

商人舎10月号・7

この様に、お金の流れを戦略的に考えることが出来れば、取るべき行動が見えてきます。
目先の行動に気を取られた枝葉末節の積み重ねでは、営業利益の拡大にはつながりにくいと考えるべきです。


■ 60日でできる業務改善


まだ、年末商戦が本格化するまでに十分に時間が有ります。

「こんなものが欲しかった」と言うような、今まで顧客が見たことのない商品やサービスを提供する。「地域ダントツ一番」の高鮮度と安全で美味しい商品を提供する。
その為には、品質管理や数量管理、商品化や陳列演出、業務スキルなど、自社の『強み』と『弱み』を、改めて棚卸しする必要が有ります。

特に、品質については、これまでの管理基準をあと一歩厳しくして、日々鮮度と味の管理を強化して、お客からの信頼信用のレベルを高める努力を徹底して行います。
ハレの日の集客(売上)を確実に引き上げるためには、絶対に気が抜けない重要課題です。

強みについては、更に磨きを掛けて差別化します。また、競争上明らかに顕在化した弱みに対しては、適宜改善を加えて中立化をはかる必要が有ります。
課題ごとに目標設定を行い、優先順位をつけて確実に改善行動を取ることが重要です。

これらの出来は、言うまでもなく、社長や経営幹部、店長のリーダーシップによって決まることとなります。

リーダーの時間を、先述した『重要度の高い課題』に重点的に振り向けることを確実にすることです。
創業以来の最高益を目指して、無駄なく行動しましょう。


■ 『スーパーの営業戦略』 その他の参考記事
  参考記事はこちらから、ご覧ください ⇒ スーパーの営業戦略 


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