マイベストプロ大阪
小堀將三

充実したマンションライフを支えるマンション管理士

小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

最低賃金引上げによる管理員費用への影響

2023年8月8日

テーマ:管理組合

コラムカテゴリ:住宅・建物

 最低賃金と管理員費用との関係をお話させていただきましたが、2023年度の最低賃金が過去最高の引き上げとなる予定です。ウクライナ情勢などを背景に米欧でインフレが進み、燃料・原材料の高騰による足元で続く物価高への対応が重視されたものであると思われます。
 7月末に、中央最低賃金審議会(厚生労働省諮問機関)が、2023年度の最低賃金(時給)の全国平均を現在の961円から41円引き上げて1,002円にすることを決めました。初めて1,000円を超えことになります。ちなみに、アメリカ2,091円、ドイツ1,749円、イギリス1,733円、フランス1,679円、そして韓国が1,001円(来年1,080円)で、引き上げてもまだまだ欧州各国よりも低い水準のままです。
 最低賃金は都道府県ごとに異なり、各都道府県の審議会が中央最低賃金審議会の目安をもとに実額を決めます。引き上げの目安は、昨年度までは4段階であったものを本年度はA・B・Cの3段階で、関西では、大阪府がAで41円、滋賀県・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県がBで40円です。昨日までに、関西の各審議会が各労働局に2023年度の最低賃金額を答申しました。答申内容は、大阪府が41円UPの1,064円、兵庫県が同じく41円UPの1,001円、滋賀県が40円UPの967円、奈良県が40円UPの936円、和歌山県が40円UPの929円で、京都府だけが17年ぶりに据え置きとしています。最低賃金が最も高い東京都では、41円UPの1,113円で答申されました。
 それでは、最低賃金のUPで管理員費用や清掃員費用がどうなるのか。大阪では41円UPとなりますので、管理員費用や清掃員費用は諸経費(20~30%)を加算すれば時給で50円程度今までよりも高くなるということになります。毎週月曜日~金曜日の7時間勤務を依頼されている管理組合様では、月額(22日計算)で7,700円ほど高くなる計算になります。日本の最低賃金は「最低賃金法」で定められていますので、最低賃金を下回る賃金を払っていた企業(管理会社)には同法に基づいて50万円以下の罰金が科されることになります。そうならないためにも、管理会社が管理組合様に対して管理委託費用の値上げを、また打診してきても不思議ではありません。
 管理員費用や清掃員費用の話だけではなく、再委託業者の人件費も、そして管理会社自身の社員の人件費も引き上げられますので、その分も加味した管理委託費用の値上げ打診が来年年明け早々に、早ければ年末から始まるように思われます。現状の管理費で値上げされた管理委託費用をまかなえることができれば良いのですが、もしできないようであれば、当然管理費の値上げも考えざるを得なくなります。若しくは、管理費の値上げをせずに済むように、管理員や清掃員の勤務時間の見直し(日々の勤務時間の縮小、勤務曜日の縮小等)を行い、管理員費用や清掃員費用の削減を図るしかありません。
 今後の管理委託費用の値上げ打診があった際のために、出来ましたらこの事を頭の片隅にでも入れておいていただければと思います。

この記事を書いたプロ

小堀將三

充実したマンションライフを支えるマンション管理士

小堀將三(マンション管理士事務所JU)

Share

関連するコラム

  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ大阪
  3. 大阪の住宅・建物
  4. 大阪の住宅その他
  5. 小堀將三
  6. コラム一覧
  7. 最低賃金引上げによる管理員費用への影響

© My Best Pro