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小堀將三

充実したマンションライフを支えるマンション管理士

小堀將三(こぼりしょうぞう) / マンション管理士

マンション管理士事務所JU

コラム

管理員の賃金上昇による管理委託費用の値上げについて

2023年8月3日

テーマ:管理組合

コラムカテゴリ:住宅・建物

 2,3年ほど前から、管理会社への管理委託費用増額の議案が総会に上程されることが多くなってきました。それ以前も最低賃金は毎年上がっていたのですが、ほとんどの管理会社は、経費削減やその他の収益で補填するなどの企業努力で管理員費用や清掃員費用の値上げをしませんでした。
 しかし、それも限界ということで、管理組合様の方に値上げを打診し、その結果、総会に議案上程されることになってきたのです。下の表は京都、大阪、兵庫の最低賃金の推移表ですが、見ていただいたら分かりますように毎年上がり続けており、その値上率も10年前は2%前後であったのが、最近では3%前後になっています。
 この最低賃金の金額から判断されてか、管理会社は貰いすぎだとおっしゃる管理組合様がおられますが、本当にそうなのかどうか。判断材料の一つの方法として、以下のような方法が考えられると思います。
 下は某マンションでの業務委託費用(R3.11)の内訳です。管理員費用は月額116,100円で、勤務時間は月曜日~土曜日の9:00~12:00の3時間ですので、1ヶ月平均26日勤務として78時間となります。
 そうしますと。管理委託契約上の時給は116,100円÷78≒1,448円です。ここでは、計算上、消費税は考慮しません。
 この年(2021年)の大阪の最低賃金は992円ですが、この最低賃金では応募してくる人はいませんので、例えば1,050円(現在は1,020~1,100円で応募されています。)での賃金契約としますと、
1,448円-1,050円=398円が管理員さんに支払われる賃金以外のお金となります。
このマンションの管理を受託している管理会社の場合は、この“398円”の中で諸経費を見込むことになります。諸経費には、管理員さんの交通費、社会保険料、福利厚生費などが考えられます。
 ですから、この“398円”が貰いすぎであるかどうかを管理組合様は判断することになります。この“398円”は1,448円の27.5%で、この割合は管理会社ごとに違いますが、50%以上になると貰いすぎの感は否めないと思われます。
 上記の例とは違って、諸経費を別途項目として設定している管理会社もありますので、その場合は、もっと割合が低くなることに注意して下さい。
 昨今、管理会社が人件費の高騰で管理委託料の値上げを打診してきますが、ただ単に高いと管理会社に言うのではなく、一度、ご自分の管理委託契約内容の管理員費用(又は清掃員費用)を見ていただき、上記計算方法と最低賃金表を参考にして計算してみて下さい。その上で、管理員の賃金上昇による管理委託費用の値上げが妥当かどうかを判断していただければと思います。

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