コラム
賃貸不動産の修繕負担は、貸主と借主の合意で決められるのか?
2016年1月19日 公開 / 2021年3月2日更新
修繕義務の確認。
民法の原則によれば、賃貸不動産の修繕義務は貸主とされています。
賃貸借契約は、貸主が借主に対し賃貸不動産を使用収益させることの
対価として賃料を得る契約となっています。
よって、賃貸不動産に破損、毀損が生じ、その使用収益に支障がある場合
には、貸主はこれを修繕する義務があります。
しかし、実のところ「どのような場合に」・「どの範囲まで」その修繕義務を負うのか
については、法的にも明確な規定はありません。
そして、上記の修繕義務に関するもう一つの民法の規定は、「任意規定」すなわち
当事者の合意により、任意に定めることができるとされています。
従って、貸主の修繕義務を免除したり軽減することができるとの考えが一般的とな
り、実際に一定の修繕は借主が行うとする特約も多く存在します。
しかし、この場合には、その修繕範囲を明確にして書面においても明示しトラブル
を未然に防止する必要があります。
ただし、修繕義務に関する特約は原則自由とされていますが、その内容により、
公序良俗に反する特約や、借地借家法の(規定に反する特約を無効にする)
規定に該当すれば当然その特約は無効とされます。
例えば、通常の賃料設定にも関わらず、「建物の基礎・屋根・外壁・柱などの主要
構造部分の大修繕も借主が費用負担する。」などの特約は、効力を有しないとの
考えが有力だと思います。
結局のところ、具体的なケースについては、賃貸借契約の性質、経緯、公平な考え
、当事者の諸事情を考慮して当事者間で定めることになります。
あくまでも、ケースバイケースとなります。
前入居者が設置したエアコンと修理代の負担。
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