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宅建業者がしている「囲い込み」に対する警鐘記事

菊池捷男

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テーマ:宅建業法

宅建業者がしている「囲い込み」に対する警鐘記事

日本経済新聞2024年8月29日付け「不動産囲い込み、処分の対象に 仲介業者が他社に紹介せず 国交省、透明性向上狙う」によれば、宅建業者が顧客(売主)から買い手を探すよう頼まれ専任媒介契約を結んだときに、宅建業者自身の利益確保のため、顧客の利益に反する「囲い込み」をしていること、及び、国土交通省は宅地建物取引業法に関する通達を改正し、2025年から囲い込みを確認すれば是正の指示処分の対象とする方針を打ち出したことを報じた。

解説
 1.建業者が専任媒介契約を結んだときの義務
宅建業法34条の2の第5項は、「宅地建物取引業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、国土交通省令で定める期間内に、当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、国土交通省令で定めるところにより、国土交通大臣が指定する者(以下「指定流通機構」という。)に登録しなければならない。」と規定している。ここでいう「指定流通機構」とは「レインズ」のことである。

 すなわち、宅建業者(仲介業者)は、不動産の所有者から売りたいので買い手を探してほしいと頼まれた場合に、選任媒介契約を結んだときは、その情報をレインズに登録しなければならないのであるが、その情報をレインズに登録する際、あたかもすでに買主が決まっているかのごとく「買い受けの申し込みがある」旨の虚偽の情報を付けるケースが横行しているとのことである。

2.囲い込みの動機
何故、宅建業者がこのような内容虚偽の情報をレインスに登録するのかというと、宅建業者としては、売り手と買い手双方から媒介報酬(上限が売買代金の3%+6万円)を得るためとされている。

3.売主からの確認方法
その懸念があると思えば、売主は、媒介業者にレインズへの登録記録を見せてもらうことがよいであろう。
なお、通達の内容は、令和7年(2025年)1月1日から施行されることになっているが、具体的には、次の一文である。
すなわち、「 9 指定流通機構への成約情報の通知について」の「(1) 登録証明書の交付時における説明等について (新設)」として、
「宅地建物取引業者は、指定流通機構に物件を登録したときは、登録証明書を交付する際に、レインズのステータス管理機能を通じて当該物件に係る取引の申込みの受付に関する状況等の最新の登録内容が確認できることに関し、依頼者に対して分かりやすく説明を行うことが望ましい。なお、宅地建物取引業者が専属専任媒介契約及び専任媒介契約に基づき指定流通機構に登録した物件について、当該物件に係る取引の申込みの受付に関する状況等の登録内容が事実と異なるときは、法第65条第1項の指示処分の対象となる。」というものである。

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