12.事件・事故は、萌芽の内に摘み取るべし その方法論
36.CGコードなどに書かれた社外取締役の資質・役割など
以下は、CGコードに書かれたことと、経産省のガイドラインに書かれたことを記す。
矢印 →の先に書いたことは、我が意見。
(1) CGコードより適宜抜粋
➀ 経営陣に対する監督者としての役割
例:内部通報に係る体制整備の一環として、経営陣から独立した窓口を設置すること。
必要に応じて、社内との連絡・調整にあたる者の選任などを行うべきである。
→ このほか、社外取締役は、上場会社に頻発しているデーターねつ造事件の検証や予防に、外部の専門家と委託契約を結んで深度深く調査をさせるなど会社内外の人材を活用するべきであろう。
② 上場会社に対する助言者としての役割
そのため
a) 社外取締役に求められる資質・能力として、
ⅰ 問題提起を含め自由闊達で建設的な議論・意見交換のできる者
ⅱ 上場会社が欲するスキルを持っていること。
それを明らかにするため、CGコードには、「上場会社は、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マトリックスなどを開示すべきであること。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含めるべきであること。」と書かれている。
ⅲ 社外取締役の兼任数は抑制すること
CGコードには、「社外取締役が他の上場会社の役員を兼任する場合には、その数は合理的な範囲にとどめるべきであり、上場会社は、その兼任状況を毎年開示すべきであること。」旨が書かれている。
→ 一人の某有名大学の教授さまが、本業を持つほか4社の上場会社の社外取締役に就いているのを知ったが、1社1社、真剣な社外取締役の職務をこなせるのか疑問に思ったことがある。
ⅳ 評価開示
上場会社は個々の社外取締役の評価をし、開示することを求めている。
→ ある上場会社の書いた全社外取締役に対する評価を見たことがあるが、経歴紹介を除くと皆、判で押したような抽象的な美辞麗句を並べた文章であった。しかし、これでは、株主には何も見えない。具体的な事績の紹介を兼ねた、どの点に才能の閃きを見たかなどを書くべきものと思う。
などがCGコードに書かれている。
(2) 社外取締役に求められる5つの心得
経産省の「社外取締役の在り方に関する実務指針 (社外取締役ガイドライン)には、次の5つが社外取締役の心得とされている。
《心得 1》 社外取締役の最も重要な役割は、経営の監督である。その中核は、経営を担う経営陣(特に社長・CEO)に対する評価と、それに基づく指名・再任や報酬の決定を行うことであり、必要な場合には、社長・CEOの交代を主導することも含まれる。
《心得 2》 社外取締役は、社内のしがらみにとらわれない立場で、中長期的で幅広い多様な視点から、市場や産業構造の変化を踏まえた会社の将来を見据え、会社の持続的成長に向けた経営戦略を考えることを心掛けるべきである。
《心得 3》 社外取締役は、業務執行から独立した立場から、経営陣(特に社長・CEO)に対して遠慮せずに発言・行動することを心掛けるべきである。
《心得 4》 社外取締役は、社長・CEO を含む経営陣と、適度な緊張感・距離感を保ちつつ、コミュニケーションを図り、信頼関係を築くことを心掛けるべきである。
《心得 5》 会社と経営陣・支配株主等との利益相反を監督することは、社外取締役の重要な責務である。