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5.指名委員会等設置会社とはどのような会社組織なのか?

2023年3月27日 公開 / 2023年3月28日更新

テーマ:コーポレートガバナンス改革

コラムカテゴリ:法律関連

5.指名委員会等設置会社とはどのような会社組織なのか?

指名委員会等設置会社は、取締役会に特別の性格を持たせている会社組織であり、日本人には馴染みの薄いものになっている。
すなわち、

(1)取締役会とその役割
指名委員会等設置会社において、取締役会の役割は、次の3つである。
①執行役の選任および解任
② 次の3委員会を設置すること

ア)指名委員会
役割は、株主総会に提出する取締役の選・解任議案を決定することである。
ただし、これには、次の注1から注4までの条件が付く。
注1 指名委員会で決定された取締役の選・解任議案は、取締役会で覆すことができない。
注2 会社は、指名委員会が決めた議案を株主総会に上程する義務を負う。
注3 株主は、別途、株主提案権を行使して、指名委員会案とは違う、取締役の選・解任案を、株主総会に提出することができる(要は、取締役の選任と解任を決めるのは、株主総会である)。

イ)報酬委員会
報酬委員会の役割は、
 1が、役員(取締役と執行役)の報酬基準を定めること
 これには業績連動型(インセンティブ報酬)を含む
2が、役員の報酬基準に基づき、個々の役員の報酬を決めること
なお、役員の報酬は、株主総会の決議事項ではないから、報酬委員会の決定が最終決定になる
3が、これらの情報を開示すること
である。

なお、日本の上場会社の報酬に関する情報開示は、十分ではなさそうである。
この指名委員会等設置会社の導入元であるアメリカの上場会社は、取締役の報酬の決定の方針と手続きについては、ほぼ全企業が開示している。その中には、報酬の種類ごとに非常に細かく開示しているところもあるようである(東証「改訂コーポレートガバナンス・コードへの対応状況及び 取締役会並びに指名委員会・報酬委員会の活動状況に係る開示の状況 (2019年7月12日時点)」参照)。

ウ)監査委員会
監査委員会の役割は、執行役と取締役の業務執行の監査、監査報告書の作成である。
なお、監査委員会のする監査は、違法性についてのみならず妥当性についても対象の対象にするので、監査委員会の権限は大きい(監査役会監査はの対象は違法性監査に限られているのとは大きな違いがある)。

(2)3委員会の構成と社外取締役を置く理由
上記3委員会は、いずれも3名以上の取締役で構成され、委員となる取締役の過半数は社外取締役であることが必要とされている。
ちなみに、社外取締役を置く理由は、その1が経営陣(執行役)に対する監督機能を効果あらしめるためであり、2は社外の優秀な人材の知見を経営に生かすことである。

法令用語の説明
指名委員会等設置会社には、「執行役」という役職があり、執行役の代表者のことをCEOChief Executive Officer)と略称している。 

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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