第1章の5-3 路線価認めず、時価で評価した最高裁判決
では、企業法務力とは何であろうか?
その前に「企業法務」の意味を明らかにする必要があるが、「企業法務」という用語は国語辞典には載っていない。
ただ弁護士の世界ではしばしば使われる用語である。
用語は「概念」と言われる。「概念」とは、読んで字のごとく、「物事の概括的な意味内容」(大辞泉に書かれた①の意味)のことであるが、「形式論理学で、事物の本質をとらえる思考の形式。個々に共通な特徴が抽象によって抽出され、それ以外の性質は捨象されて構成される。内包と外延をもち、言語によって表される。」(大辞泉に書かれた②の意味)とも書かれているので、本r連載コラムでは、「企業法務」の概念規定(定義付け)を、「企業や法人が行う事務や事業で法律が関係する部分」とする。
無論このような漠然とした言い方では、眼に具体的なイメージが浮かんでくるものではないことは承知しているが、具体的なイメージは、本連載コラムを読んでいただくことで、おおよそのところは、掴んでいただけるものと思われる。
なお、「企業法務力」という用語も辞書には載っていないが、ここでは「企業法務を的確、適性に処理できる能力」の意味で使いたい。