コラム
最高裁がした、パワハラ加害者に厳しい判決の例
2022年11月30日 公開 / 2022年12月1日更新
最高裁判所令和4年9月13日判決は、普通地方公共団体である長門市の消防長(消防職員の任命権を有する行政機関)がした、消防職員Aに対する分限免職処分を有効だと判示し、Aに対する分限処分は違法だとして取り消した高等裁判所の判決を破棄した。
最高裁判決が判示した本件パワハラ
Aがした行為は、5年以上にわたって繰り返してきた、部下である消防職員約30名に対する80件以上もの暴言、暴行、極めて卑わいな言動、プライバシーを侵害した上に相手を不安に陥れる言動等多岐にわたり、被害者の割合は消防職員全体の人数の半数近くを占めるものであった。
最高裁の判示するところでは、Aは、社会常識を欠き、粗野な性格であって、公務員である消防職員として要求される一般的な適格性を欠くとみることが不合理ではなく、Aの性格は簡単に矯正することはできず、指導の機会を設けるなどしても改善の余地がないとみるも不合理ではないなどと判示している。
原審高等裁判所の判決は、このようなAであっても、分限免職処分をすることは違法だというものであったが、前記最高裁判決は、その高裁判決を受け入れなかったのである。
パワハラをする者は、解雇(公務員の場合は分限免職)になることを知るべきであろう。
なお、分限免職処分とは、当該公務員の地位にいることが、能力や適性面からふさわしくないので、その意思に反して解雇するという処分のことである。
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