ロビー活動の功罪やいかん
ビジネスの要諦、那辺にありや?
新規でビジネスを始めた人や会社の、ときに犯す失敗例の一つに、契約条項作成の失敗がある。
その一つに、“悪徳業者のする商法を、当社もしています。」と言わんがばかりの契約条項を書く例である。
1.悪徳業者の商法
悪徳業者とは、平凡、正直な一般の人(消費者)に、事実に反することや、確実に値上がりするなどの物言いをもって、小市民(消費者)の持つ、ささやかの夢を膨らませ、契約を結ばせる商法をする者である。
また、取引によって生じた損害については、自分(業者)はその責めを負わず、相手方(消費者)のみに不利益や損害を負わせる商法をする者や会社である。
2.悪徳業者の商法の具体例
消費者契約法第8条は、
① 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除する契約条項
② 事業者の債務不履行(故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除する条項
などの契約条項は、当然に無効になると規定している。
実務で見られる例としては、上記の②の条項、すなわち、「我が社は、故意又は重大な過失があるときだけ、責任を負いますが、その責任には、上限を設けさせていただきます。」というものである。
3.事業者間契約でも
事業者同士で結ぶ契約にも、2項に書いた②の契約条項が、ときに見られる。
事業者と消費者との間の契約では無効になる契約条項でも、事業者間での契約では無効にならないからか、事業者との契約書に、この契約条項を堂々と入れて契約の締結を求める事業者もいるのだ。
それも、優越的な地位ある会社ではなく、初めて取引をしようとする小規模な会社が格上の会社に対し、そのような契約条項の入った契約書を見せるケースもあるのだから、驚きである。
それを見た、格上の会社は、言うまでもなく、そんな契約の締結は拒否する。
そのため、せっかくのビジネスチャンスを失うことになる会社もあるのだ。
4.ビジネスの要諦
ビジネスの要諦やその成功の秘訣は、一にかかって、誠実さであり、正直さである。何を勘違いするのか?悪徳業者が常時書いている契約条項を、真似る、真面目で誠実な新規事業者もいるのだ。
契約条項は、会社の心を反映するものでなければならない。
せめて「我が社は、故意又は過失があるときは、貴社に生じた損害について全額賠償いたします。」という、民法上の当然の義務を履行すると書くべきだ。