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2021/02/06 クライシス・マネージメント
会社には、リスク管理システム整備義務(いわゆる内部統制システム整備義務)のあることは、昨日の日記に書いたが、会社の義務はそれにとどまらず、リスクが顕在化したときは、それを世間に向かって公表するなどして、信用失墜を最小限にとどめるべき義務もあるとされるようになった。
この理は、大阪高等裁判所平成18年6月9日判決であきらかにされた.
同判決は、危機の発生を公表しなかった会社の取締役に対し、「積極的に公表しなかったことは,消極的隠蔽と言い換えられる」と指弾して、その会社の取締役に対し53億円の損害(リスクの発生を公表しなかったことによる拡張損害)賠償を命じた。この理は、最高裁判決にも支持された。
なお、この件の高裁判決は、不祥事発覚後の問題解決策を、「クライシス・マネジメント」という言葉で表現した。
つまり、会社には、①リスク管理システムを整備する義務と、②リスクが発生した後のクライシス・マネジメントを適切にする義務があるのだ。
なお、これら取締役の義務は、組織を運営する責任者の義務であるので、なにも会社の取締役に限定する必要はない。
であるから、その後、医療法人、社会福祉法人、学校法人、地方自治体などの理事らの組織上の責任者の義務にまでなった。
したがって、当然、ロータリーの活動についても、この理が適用されることになる。
国際ロータリー(RI)の各地区では、青少年交換事業や米山奨学生支援事業などがあるが、それらの事業では、①リスク管理システムを整備し、②リスク発生後は公表するなどのクライシス・マネジメントの方法論を整備しておく必要および義務があるのだ。
そのため、国際ロータリーの各地区では、危機管理委員会を設置するほか、損害賠償責任保険に加入するなどをして対処している。
ただし、それが法的意味におけるリスク管理システム整備義務等の要件を充足できているかは、十分に検証する必要はあるが・・