会社法の歴史 1 はじめは「商法」であった 「商法」はドイツ法に倣ったものだった。そして、戦後・
第4章 ESG投資
欧米の企業は、ずいぶん前から、ESG投資に注力し、一定の効果を挙げてきている。
わが国の企業も、遅ればせながら、しかし近年急激に、ESG投資に注力するようになった。
1. ESG投資の意味
2. ESGと利益の極大化とは、矛盾しない
3. ESG思想の芽生え
国連が2006年に大手機関投資家に対し、投資判断にESGの観点を組み込むことを求める「責任投資原則」(Principles for Responsible Investment:PRI)というルールを提唱してから。これは、今日のコーポレートガバナンス・コード(上場会社がする行動原則)やスチュワードシップ・コード(機関投資家がする投資原則)の先駆け的なもの。
4. ESG思想が受け入れられた歴史的背景
折から、その翌々年の2008年、リーマンショックが起こったことが契機になって、国連が提唱した「責任投資原則」が世界に受け入れられたといってよい。
5. ESGを重視する意識における世界と日本の差
2016年のデータだが、全投資額に対するESG投資の割合は、欧州が約53%、豪州・ニュージーランドが約51%、アメリカが約22%、わが国 約3%でしかなかった。しかし・・・世界のESG投資は、2016年比で2018年末時点には34%増え、この間日本は4.6倍に急拡大している。
6. ダイベストメント(投資撤退)
石炭使用の比率の高い会社、データ改ざんなどのガバナンス上問題のあった会社などは、投資の対象から外される可能性がある。最近商社が温室効果ガス排出量の多い燃料炭の鉱山権益をすべて売却し、米欧の保険会社の間では、石炭火力発電関連の損害保険の引き受けを停止する動きが相次いでいる。
7. ESG投資の目安
世界のESG投資額の統計を集計している国際団体のGSIA(Global Sustainable Investment Alliance)によると、ESG投資適格会社の選別手法として、次の七つのスクリーニング方法をあげている。
8. サステナビリティー(持続可能性)
地球温暖化など、気候変動に関するデータの開示をする企業が、急速に増えていることが報じられているが、このデータの開示は、ESG投資を呼び込む目的によるものとされている。そうであれば、現在のESG投資を推奨する思潮は、最近話題になっているSDGsの考えと、軌を一にする。
9.国連気候行動サミット
菊池:2019年9月に開かれた国連気候行動サミットでは、77か国が、2050年には二酸化炭素など温室効果ガスの排出を実質ゼロとすると表明した。今後、今まで以上にESGに注力していくことだろう。