コラム
指名委員会等設置会社って、何だい?③
2019年8月15日
5.報酬委員会の権限に疑問
菊池:ねえ、後藤くん。指名委会社における指名委員会の役割と権限はよく理解できる。しかし、どうしても理解できないのは、報酬委員会の役割と権限だ。江頭さんの「株式会社法」第7版には、報酬委員会は、委員の全員が取締役で、その過半数は社外取締役であること、報酬委員会の権限は、取締役と執行役の個人別の報酬等(退職慰労金も含む)の内容を決定することだと書いてある。ということになると、報酬委員会のすることは利益相反行為になるのではないのかい?
後藤:利益相反行為というのは、報酬委員会は、自分たちの報酬も自由に決めることができるので、この点は株主利益に反するということかい?
菊池:そうだよ。
後藤:これまで、会社法は、会社と取締役の利益相反行為については、規制してきたが、取締役と株主の利益が相反する場面については、規制してこなかった。しかし、指名委会社における報酬委員会は、外部のコンサルタント等を利用して、合理的報酬システムを確立することを前提で、設けられているので、この合理的システムができ、正しく運用されれば、株主の利益は守られることになるよ。だから、指名委会社制度が、直ちに、株主利益に反するとはいえないよ。もっとも、運用いかんでは、お手盛りの疑念が生ずる可能性はあるだろうけどね。
取締役の報酬を決める機関お手盛りの可能性
監査役(会)設置会社株主総会制度上お手盛りの可能性はない
指名委員会等設置会社取締役会内の報酬委員会 制度上はお手盛りの疑念は残る
関連するコラム
- 出資比率は絶対ではない(出光興産事件) 2017-08-03
- 要望ありて加筆せり .ホールディングスが増えた理由 2018-04-06
- ホールディングスが増えた理由 2017-07-30
- ホールディングスのメリット・デメリット 2018-04-26
- 会社法の歴史 1 はじめは「商法」であった 「商法」はドイツ法に倣ったものだった。そして、戦後・ 2018-03-28
コラムのテーマ一覧
- 時々のメモ
- コーポレートガバナンス改革
- 企業法務の勘所
- 宅建業法
- 法令満作
- コラム50選
- コロナ禍と企業法務
- 菊池捷男のガバナー日記
- 令和時代の相続法
- 改正相続法の解説
- 相続(その他篇)
- 相続(遺言篇)
- 相続(相続税篇)
- 相続(相続放棄篇)
- 相続(遺産分割篇)
- 相続(遺留分篇)
- 会社法講義
- イラストによる相続法
- 菊池と後藤の会社法
- 会社関係法
- 相続判例法理
- 事業の承継
- 不動産法(売買編まとめ)
- 不動産法(賃貸借編)
- マンション
- 債権法改正と契約実務
- 諺にして学ぶ法
- その他
- 遺言執行者の権限の明確化
- 公用文用語
- 法令用語
- 危機管理
- 大切にしたいもの
- 歴史と偉人と言葉
- 契約書
- 民法雑学
- 民法と税法
- 商取引
- 地方行政
- 建築
- 労働
- 離婚
- 著作権
- 不動産
- 交通事故
- 相続相談
カテゴリから記事を探す
菊池捷男プロへの
お問い合わせ
マイベストプロを見た
と言うとスムーズです
勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。