2 祭祀に関する権利の承継
第2款遺言執行者の権限と効果
(1)遺言執行者の権限① 相続財産目録調整義務
条文
(相続財産の目録の作成)
第1011条 遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。
2 略
(遺言執行者の権利義務)
第1012条 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2以下 略
(遺言の執行の妨害行為の禁止)
第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
(特定財産に関する遺言の執行)
第1014条 前3条の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2以下略
【解説】
遺言執行者には、相続財産目録を作成し、これを相続人に交付する義務があります(2011)。これは、遺言執行者が相続財産の処分その他遺言の執行をする(1012)ので、その対象になる財産を相続人に知らせ、相続人に遺言執行の妨害行為をしないよう(1013)注意を与えることが目的です。そのための相続財産目録調整義務ですので、遺言執行者がする遺言執行が、相続財産のうち特定の財産に関する場合は、その財産のみを目録として調整することになります(1014)。
後述のように、平成30年改正前にあっては、遺言執行者の相続財産目録調整義務を、遺言執行者の遺言執行とは無関係な、相続人に対する義務だと考える謬説が広がっていましたが、これは明らかな間違いです。