債権法改正 大改正。債権の原則的な消滅時効期間は5年になる。短期はなし
1 債務者との売買契約とみなされる
裁判所でなされる競売に参加し、買受人になることは、債務者との間に売買契約を結んだことになりますが、競売特有の配慮も必要なところから、民法に特則を置いています。
すなわち、「民事執行法その他の法律の規定に基づく競売における買受人は、第541条及び第542条の規定並びに第563条(第565条において準用する場合を含む。)の規定により、債務者に対し、契約の解除をし、又は代金の減額を請求することができる。」(568①)と定めていますが、競売は、債務者との売買契約だとみなされ、買受人に認められる権利は、次のように制限されます。
2 買受人の権利
民法568条は、買受人は、債務者に対し競売という売買契約につき、「契約の解除」又は「代金の減額の請求」ができます。
通常の売買契約だと、「修補の請求」なども認められますが、競売では、債務者に修補を請求すること自体現実的ではないので、認められません。
3 買受人が「契約の解除」又は「減額の請求」の権利を行使できる場合
競売は、通常、「執行官による現況調査」で競売対象物の現況と権利関係の確認がなされ(「物件明細書」にのそのことが書かれます。)、それを元に不動産鑑定士による不動産の評価がなされ、その評価額を元に最低売却価格が決められ、競売に付されますので、買受人が契約の解除や代金の減額を請求できるのは、①「物件明細書」の内容が間違っていた場合(面積不足があったり、競売物件に住んでいる人には居住の権利がないと書かれていたのに、居住権があるなど第三者の権利が付着しているような場合)や、②不動産鑑定士の鑑定の間違いで高いものを買う結果になった場合などが考えられます。
ただ、競売の目的物が違っていたとか、劣っていたという理由では、解除や減額の請求は認められません(568④)。これらは、買受人になる者自身が、自分の目で確認できることだからです。
4 解除や代金の減額を受けた債務者に資力がないとき
競売における買受人が、債務者に対して、解除や代金の減額の請求ができる場合であっても、債務者が無資力になっている場合が、想定されますが、その場合は、「買受人は、代金の配当を受けた債権者に対し、その代金の全部又は一部の返還を請求することが」できます(568②)。
それだけでなく、競売を申し立てた債権者自身に対しても、債権者が買受人に不測の損害が生ずることを知りながら、情報を秘して申立てをするなどしたときは、買受人は、損害賠償の請求をすることができます(568③)。