改正法の下では、特別損害の範囲が変わる 主観から客観へ
ア クラブのツケ → 5年
現行法では、クラブのツケは、1年間で時効消滅しますが、改正法では債権の消滅時効はすべて5年間に統一されます(166)ので、現行法に認められた短期消滅時効という制度はなくなります(170~177削除)。
イ 国税債権と地方税債権 → 5年と7年
これは国税が、法定納期限から5年間経過した時、時効消滅するという期間(国税徴収法72条 国税の徴収権の時効)と同じです。もっとも、国税の場合は、脱税など悪質な所得隠しをすると、例外的に7年になる場合もありますが、民法では、時効期間が延長されることはありません。
なお、地方税法18条にも、国税庁手法72条と同じ規定があります。
ウ 判決で確定した債権 → 10年
ただ、例外もあります。
判決で確定した債権の消滅時効期間は10年で、これは現行法と同じです。
エ 賃金債権 → 今のところ2年
なお 賃金債権は現在のところ、時効期間は変わりません。
労働基準法で定められた賃金債権の消滅時効期間は2年間、退職金債権は5年間のままです。
もっとも、労働基準法上の賃金などの債権については、現在、厚生労働省で時効期間について検討会が開かれていますので、この先どうなるか予断を許しませんが。
オ 商事債権 → 5年
商事債権は、もともと5年間で時効消滅していましたが、その時効期間を定めていた商法522条は整備法3条で削除され、民法166条の適用を受けることになり、したがって、時効期間は5年間のままです。
要は、民事債権と商事債権の区別はなくなったのです。
参照条文
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から10年間行使しないとき。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
第170条から第174条まで(筆者注:短期消滅時効にかかる債権を定めた規定) 削除
(判決で確定した権利の消滅時効)
第169条 確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、10年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、10年とする。