離婚 離婚後の戸籍の届出について
横恋慕(よこれんぼ)とは、横から恋い慕う、という語意ある言葉ですが、ここから、恋してはならない他人の妻や恋人に恋をし、手を出すことをいいます。
この横恋慕に対し、横恋慕された女性はどういう態度を採るか?
平家物語に書かれた横恋慕の例を書いてみます。
登場するのは、袈裟御前(けさごぜん)。その夫の渡辺渡(わたなべわたる)。それに横恋慕者遠藤盛遠(えんどうもりとう)です・
袈裟御前は、渡辺渡という北面の武士と結婚。
傍目(はため)もうらやむ鴛鴦の仲(えんおうのなか)ですが、そこに、同じ北面の武士である遠藤盛遠が、横恋慕の手を差し出します。
袈裟御前、盛遠の出す手を、峻拒します。
しかし、盛遠、わしの言うことを聞かぬときは、そなたの母を殺し、わしも腹を切ると脅迫。
盛遠には、それをするだけの一途さと激しさがあります。
事ここに及んで、袈裟御前、一大決心をします。
ある日、遠藤盛遠に、私は夫のある身、あなたが夫を殺してくれれば、この身をあなたに任せます。と言います。
そして、盛遠に、いついつ、我が家へ忍んできて、夫が寝ているところを襲って首をあげてもらいたい。その夜は、夫の髪を洗う日、夫であることは、濡れた髪で分かるはず。と言います。
そして、その日が来、遠藤盛遠、勇躍、渡辺渡の家へ忍び入り、袈裟御前の教えてくれた部屋へ入ります。
その部屋には人が一人寝ています。
盛遠、その者の髪が濡れているのを確認して、首をかき斬ります。
後刻、盛遠、袈裟御前の首をかき抱いて、茫然自失。
この盛遠、後の文覚上人です。
鎌倉幕府を創建した源頼朝を助けた人物です。
なお、袈裟御前の墓は「恋塚」といい、これを祀った恋塚寺は、京都市にあります。
さて、以上の話は、平安時代の一途に思い詰めた男の横恋慕に対し採った、袈裟御前の断り方ですが、現在なら、肘鉄一発で退けられます。