コラム
内部統制システムとは何?② 会社法及び会社法施行規則で明文化
2018年2月20日 公開 / 2018年3月10日更新
1 判決を受けての法の改正
昨日のコラムで解説したように、大阪地方裁判所は、平成12年9月20日、会社には内部統制システムを整備する義務があるとして、内部統制システムを構築していなかった大和銀行の取締役に、合計800億円を超える損害賠償を命じた(この件は、控訴審で5億円の和解が成立)が、この判決を受けて、その後、法律が改正され、現在は、内部統制システムの構築義務が、法律上明記されるに至った。それは、平成14年の旧商法特例法の改正で、当時の「委員会設置会社」(今日の「指名委員会等設置会社」)制度が導入された際に、委員会設置会社の義務として規定されたのが始まりであった。そして、内部統制システムの整備義務はその後、大会社(資本金5億円以上又は負債が200億円以上ある会社)にまで拡大された。
2 会社法及び会社法施行規則の内容
前述の「内部統制システム」は、会社法では、「会社の業務等の適正を確保するための体制の整備」をいい(会社法348条3項4号)、更に詳しくは、次のものである(会社法施行規則98条1項)。
①取締役の職務の執行に係る情報の保存・管理に関する体制
②損失の危険の管理に関する規程その他の体制
③取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
④ 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
⑤会社・親会社・子会社から成る企業集団における業務の適正を確保するための体制
なお、監査役設置会社の場合には、内部統制システムの内容および運用状況は、事業報告書で開示されなければならず、その相当性判断は、監査役の職務の対象になっている(会社法施行規則118条、129条1項5号)。
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