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金融機関から見た不良債権の意味と分水嶺

2018年1月16日 公開 / 2018年1月17日更新

テーマ:民法雑学

コラムカテゴリ:法律関連

1 不良債権
 不良債権とは、金融庁の「金融債権マニュアル」における区分のうち、
(ア)破綻先債権(法的・形式的な経営破綻(破産、会社更生法適用など)に陥っている貸付先に対する債権)、
(イ)実質破綻先債権(法的・形式的な経営破綻には陥っていないが、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがないなど、実質的に経営破綻に陥っている貸付先に対する債権)、
(ウ)破綻懸念先債権(経営破綻の状況にはないが、経営難の状態にあり、再建計画の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きい貸付先に対する債権)、
(エ)要注意先債権(貸出条件に問題がある、債務の履行状況に問題がある、業況が低調ないし不安定な債務者、財務内容に問題があるなど、今後の管理に注意が必要な貸付先でいわゆる金融支援を受けている債権)のうちの要管理先債権(債務の履行を3か月以上延滞、または貸出条件の緩和を受けた貸付先に対する債権)
を総称した概念です。

 なお、次の区分に属する債権は正常債権とされています。
(オ)要注意先債権のうち要管理先債権以外の債権
(カ)正常先債権(業績が良好で、財務内容にも問題がない優良な貸付先に対する債権)

2 不良債権と正常債権の分水嶺
 不良債権性の最も軽いものは、
(オ)要注意先債権のうちの要管理先債権であり、
正常債権のうち最も不良債権に近いものは、
(オ)の要注意先債権のうちの要管理先債権でないものであり、
その違いは、言葉の意味からは、次の言葉の違いになります。
すなわち、
「貸出条件に問題がある、債務の履行状況に問題がある、業況が低調ないし不安定な債務者、財務内容に問題があるなど、今後の管理に注意が必要な貸付先(いわゆる金融支援を受けている)に対する債権(A)は「要注意先債権」ですが、これにとどまるものは「正常債権」の範域にあり、
その要件に加えて、
「債務の履行を3か月以上延滞、または貸出条件の緩和を受けた貸付先に対する債権」(B)であるものは「要注意先債権のうちの要管理先債権になるので、「不良債権」の範域に入ります。

ですから、正常債権と不良債権を分ける分水嶺はBではないAと、BであるAの間の一線ということになります。

この記事を書いたプロ

菊池捷男

法律相談で悩み解決に導くプロ

菊池捷男(弁護士法人菊池綜合法律事務所)

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