交通事故 21 逸失利益⑫ 定期金賠償は認められるか?
道路上を自転車等に搭乗して、走行中、道路上の障害物や、道路から駐車場に入るときの障害物に衝突して転倒し人身事故が起こるというケースは多いのですが、その場合は、道路管理者や駐車場管理者の管理責任と、自転車を運転する側の責任が競合する場合が多く、裁判では、その割合が争点になることがあります。
① 大阪地裁平成10年2月1日判決は、夜間にファミリーレストランの駐車場に侵入しようとしたバイクが,駐車場出入り口にかかっていたチェーンに引っかかり転倒して運転者が怪我をしたと事件ですが、過失割合は,運転者6:施設管理者4と判断されました。
② 福岡地裁平成25年4月10日判決は、夜間に自転車が,用水路に転落して運転者が死亡した事故ですが、 過失割合は,運転者5:用水路を管理する地方自治体5と判断されました。
③ 名古屋地裁平成25年6月19日判決は、昼間,自転車が道路に設置されていたパネルの段差につまづいて,転倒し,運転者が怪我をしたという事故ですが、 自転車搭乗者(運転者)9:パネルの設置者1と判断されました。
これら 裁判例の責任割合(過失割合)判断の考慮要素としては、
ア障害物を設置した者又は障害物のある施設の管理者については、道路通行に与える危険性の程度の割合が、責任割合になりますが、考慮要素としては、障害物の形状,道路幅などの客観的状況,設置者の設置物危険性の認識の有無,危険防止する措置の有無等があります。
イ 一方、自転車等運転者の過失については,障害物を回避するための適切な措置の可否及び程度から、割合が判断されています。
具体的には,昼間夜間の違い,前照灯の点灯の有無,自転車等のスピード,道路の状況(道幅,舗装の有無等)等が判断要素になっています。